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額髪
「額髪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
額髪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
も、もとの眉毛に対応して居た時はただありきたりの垂れ眼であった。今こそウェーブの
額髪で隠れているが、ほんとうはこの間までまるだしの抜け上ったおかみさんを随喜して....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
しく並べて書いてある。周囲の欅の大木にはもう新芽がきざし始めた。賽銭箱の前には、
額髪を手拭いで巻いた子傅が二人、子守歌を調子よくうたっていた。 昨日の売れ残り....
「花物語」より 著者:寺田寅彦
のであった。自分がこの家にはじめて来たころはようよう十四五ぐらいで桃割れに結うた
額髪をたらせていた。色の黒い、顔だちも美しいというのではないが目の涼しいどこかか....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
の声に、つと打向いたまえるは、細面ただ白玉の鼻筋通り、水晶を刻んで、威のある眦。
額髪、眉のかかりは、紫の薄い袖頭巾にほのめいた、が、匂はさげ髪の背に余る。――紅....
「源氏物語」より 著者:紫式部
い才気などはなくてもいいようなものですが、まじめ一方で、なりふりもかまわないで、
額髪《ひたいがみ》をうるさがって耳の後ろへはさんでばかりいる、ただ物質的な世話だ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
かど》の高欄の所へしばらく中将を引き据《す》えた。なお主従の礼をくずさない態度も
額髪《ひたいがみ》のかかりぎわのあざやかさもすぐれて優美な中将だった。 「咲く....
「源氏物語」より 著者:紫式部
げん》をお直しなさい、皆が不審がりますよ」 夜着をめくると、女王は汗をかいて、
額髪もぐっしょりと濡《ぬ》れていた。 「どうしたのですか、これは。たいへんだ」 ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
嫌《きげん》を悪くしているのですか、理由《わけ》がわからない」 と言いながら、
額髪《ひたいがみ》を手で払ってやり、憐《あわれ》んだ表情で夫人の顔を源氏がながめ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
も薫物の香の染んだのへ五、六枚に書かれてあるのを、姫君は身にしむふうで読んでいて
額髪が涙にぬれていく様子が艶であった。 院は女三の宮のお座敷のほうにおいでにな....
「錦木」より 著者:宮本百合子
がらも取り乱した風のないのを乳母は又「何と云うけなげな方だろう」と思った。女君は
額髪をぬらしたまま被衣をかけて身じろぎもしないでいらっしゃるので乳母は今更のよう....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
。 「まあ、どうおしだえ」と夫人はつぶやいた。 夫人は美しい白い指で、わたしの
額髪をなでて、長いあいだわたしの顔を見た。 「そうだそうだ」とかの女は優しく独り....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
因《よ》る。芭蕉集中精細なるものを求むるに 粽《ちまき》結《ゆふ》片手にはさむ
額髪 五月雨や色紙へぎたる壁の跡 のごとき比較的にしか思わるるあるのみ。蕪村集....
「暴風雨の夜」より 著者:小酒井不木
、心のもつれとき櫛に、かかる千筋のおくれ髪、コハ心得ずと又取上げ、解くほどぬける
額髪、両手に丸めて打ながめ……」 とありますが、本当にこのお岩そっくりの相好と....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
乱暴だ。失礼。」と身震して、とんとんと軽く靴を踏み、中折を取ると柔かに乱れかかる
額髪を払って、色の白い耳のあたりを拭ったが、年紀のころ二十三四、眉の鮮かな目附に....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、 黄と白、赤の葱坊主、毛槍かつげば供奴、 人蔘の花、八重垣姫の花かんざしの
額髪、 花の痛いは種|牛蒡、勧進帳の篠懸けだ。 此処にも細かな雨がふる。 ....