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「顎紐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

顎紐の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
党生活者」より 著者:小林多喜二
まだ決まらず歩いていると、交番のところにも巡査が二三人立っていて、驚いたことには顎紐《あごひも》をかけている。途中から引ッ返えすことはまずかったが、仕方なかった....
気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
った地面の上に俯伏に倒れていた。真白な雪の肌に黒血のにじんだその頭部の近くには、顎紐の千切れた従業員の正帽がひとつ、無雑作に転っている――。 警察医は、早速屍....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
一度にタラップを上ってきた。 呀ッ! 着剣をしているではないか! そして帽子の顎紐をかけている! 「しまった!」そう心の中で叫んだのは、吃りだった。 次の汽....
共同耕作」より 著者:宮本百合子
やって来た、やって来た。×元村の駐在と××町の警部補が先頭に立って、巻キャハンに顎紐といういでたちだ。 猛烈な口論がはじまった。 「おい、やめんか!」 「馬鹿....
刻々」より 著者:宮本百合子
いよメーデーだ。警察じゅう一種物々しい緊張に満ちている。非番巡査まで非常召集され顎紐をかけ脚絆をつけた連中が内庭と演武場に充満して佩剣《はいけん》をならしている....
海流」より 著者:宮本百合子
の上で一つの提灯が大きく左右にふられ前の車もそこで止っている。非常警戒であった。顎紐をかけた巻ゲートルの警官が一人は運転手の窓のところから内部をのぞき込み何か云....
冥土行進曲」より 著者:夢野久作
に雑沓して来る。 そのうちに背後の扉が開いた音がしたので、ハッとして振向くと、顎紐をかけた警官が二三人ドヤドヤと這入って来た。皆殺気立った形相をしていたが、振....
メーデーに歌う」より 著者:宮本百合子
急にかけだして、途切れそうになる行列をつないで、進んでゆく。前方を見ると、行列は顎紐をかけゲートルを巻いた警官の黒い群に雪崩《なだ》れこまれ、警官が列の中から検....
再武装するのはなにか」より 著者:宮本百合子
くまでもなく、もう怠りなくリ・アーマメント=再武装は実行している。国内に五十万の顎紐をかけた警官と二百万の「消防」、復員軍人、旧戦犯、悪質の「民同」がうようよし....
電車の見えない電車通り」より 著者:宮本百合子
灰色っぽいソフト帽をかぶっている。これにも、さっきむこうへ行ったのにも白い警官が顎紐をおろしてのりこんでいるのであった。 「――東京駅まで……二枚でしょう?」 ....
原爆詩集」より 著者:峠三吉
かげ 供養塔に焼跡に 花を供えて来た市民たちの流れが 忽ち渦巻き 汗にひきつった顎紐が 群衆の中になだれこむ、 黒い陣列に割られながら よろめいて 一斉に見上る....
丹下左膳」より 著者:林不忘
押すな押すなの混雑。豆大福《まめだいふく》を売るおばあさんや、焼鳥屋の店が出て、顎紐《あごひも》をかけたお巡りさんが整理にあたっている。 主水正の若党|儀作《....
魔都」より 著者:久生十蘭
は伸び上ってその方を眺めていたが、あわてて花の腕を執ると、 「花ちゃん花ちゃん、顎紐をかけたお巡査《まわり》さんがトラックで沢山やって来たよ。さア逃げよう、掴ま....
不在地主」より 著者:小林多喜二
すと、アーク燈のまばゆい氷のような光の下で、雪の広場はチカチカと凍てついていた。顎紐をかけた警官が、物々しく一列に延びて、入り損った聴衆を制止していた。丁度真下....