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顎鬚
「顎鬚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顎鬚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
の彼の生活を保障して貰うのを交換条件として、笛吹川の意志に従ったのです。笛吹川は
顎鬚を剃りおとし、髪かたちから風貌までを整えて笛吹川の死後、五日目に赤耀館へのり....
「猿面冠者」より 著者:太宰治
雇いいれたことは手柄であった。ブルウル氏は、チエホフに似ていた。鼻眼鏡を掛け短い
顎鬚を内気らしく生やし、いつもまぶしそうに微笑んでいた。英国の将校であるとも言わ....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
いうよりもむしろフランスの高級の軍人といった風の、口髯をねじり上げてポワンテュの
顎鬚を延ばした、一見してこれがあのLだなと思われる男に、僕はまず紹介された。はた....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
を放したくなかった。そのくぼんだ眼と、突き出た頬骨と、一寸あまりにも延びた黄色い
顎鬚とが、静かな遠いところへ彼を引っぱっていくように思えたのである。 「次郎は賢....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
い写真を差し出して見せた。 「畜生!」と、彼は椅子から飛びあがって、憤怒の余りに
顎鬚を逆立てて叫んだ。「わしにとって、君の幸福がなんだ。わしの眼の前で、君が恋れ....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
らしいの、浮木の姥か」 こう云って進み出た壮漢は、この一党の頭と見え、荒々しい
顎鬚を顎に貯え、手に鉄棒をひっさげている。年の頃は四十五六、腹巻で胴を鎧っている....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
にうずくまり、息を詰めて窺った。 老人は何やら云っているようであった。 白い
顎鬚が上下に動き、そのつど肩まで垂れている髪が、これは左右に揺れるのが見えた。 ....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
の小姓のように。 自動車は自家用の大型物であった。 自動車の中に紳士がいた。
顎鬚を撫して笑っていた。この市の有名な市長であった。 「ははあ誘いに来たのだな。....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
方に行きかけた。 すると門口から、背の馬鹿に高い、頭のつるつるに禿げた、真白な
顎鬚のある老人がはいって来た。次郎は、一目見ると、それが母の葬式の時に来ていた人....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
中で呼吸している、常人以外のものではなかった。鋭く稜形に切りそがれた顴骨、鼠色の
顎鬚――と数えてみても、一つは性格の圭角そのもののようでもあり、またもう一つから....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
いまして、貴方の好みから、沙翁の顔を引き写したので御座いましょう。ですから、髭も
顎鬚も細くて、そこから鼻にかけての所が、恰度光線の工合で、十字架のように見えるの....
「決闘」より 著者:神西清
ルよりもむしろ嬉しそうである。実際彼は、自分の顔つきや、きれいに刈り込んだ小さな
顎鬚や、健康と頑丈な体格の立派な証拠である広い肩幅を見るのが、ひどく楽しいのであ....
「春」より 著者:岡本かの子
処へも、飛び散って行くように見える。 調子はずれの軍歌を唄いながら、桜の下から
顎鬚の濃い五十男が、加奈子の佇って居る庭に面した廊下の窓の方へ現われた。だぶだぶ....
「三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
偖て、それではこれから……」 笠松博士は、半分ほども銀色の白毛の混っている長い
顎鬚を静かに扱きながら、私達学生席の方を、学生の一人一人の顔を睨みつけるような眼....
「心霊の抱く金塊」より 著者:大倉燁子
慾深い連中からの質問が続出する。 雨が降り出した、大つぶの雨が軒をうつ。博士は
顎鬚をしごきながら、徐ろに語をついでいう。 「場所は日本アルプスの×××の麓の城....