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顔を出す
「顔を出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顔を出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ンヴァスも仕入《しい》れるつもりだった。フロイライン・メルレンドルフの演奏会へも
顔を出すつもりだった。けれども六十何銭かの前には東京|行《ゆき》それ自身さえあき....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
はそう云う恋愛のことですよ。
保吉 達雄はまた毎日電燈さえつけば、必ず西洋間へ
顔を出すのです。それも夫のいる時ならばまだしも苦労はないのですが、妙子のひとり留....
「或る女」より 著者:有島武郎
を想像して、自分のために親戚《しんせき》や知人が寄って別れを惜しむというその席に
顔を出すのが、自分自身をばかにしきったことのようにしか思われなかった。こんなくら....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
た。
(七)
「まだか」、この名は村中に恐怖を播《ま》いた。彼れの
顔を出す所には人々は姿を隠した。川森さえ疾《とう》の昔《むかし》に仁右衛門の保証....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
ぞ》いて、風にも雨にも、ばさばさと髪を揺《ゆす》って、団扇《うちわ》の骨ばかりな
顔を出す……隣の空地の棕櫚《しゅろ》の樹が、その夜は妙に寂《しん》として気勢《け....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
のない玉だけれど、露出しにして河野家に御覧に入れるのは、平相国清盛に招かれて月が
顔を出すようなものよ。」といささか云い得て濃い煙草を吻と吐いたは、正にかくのごと....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
の外から地球を見ているような気がする。空をとおる雲足がむやみと速くなった。太陽が
顔を出すと暖かい光がこごえた身体には大変有難いが、たちまち雲におおわれると同時に....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
ざとい碁会所をやっていた――金六、ちゃら金という、野幇間のような兀のちょいちょい
顔を出すのが、ご新姐、ご新姐という、それがつい、口癖になったんですが。――膝股を....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
じゃ、前方で誰の事だか見当が附くめえてね、迷児と呼ばれて、はい、手前でござい、と
顔を出す奴もねえもんでさ。」とうんざり鬢が引取って言う。 「まずさね……それで闇....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
たように、誰も知りまた想うのである。が、どういたして…… ――やがてこのあとへ
顔を出す――辻町糸七が、その想う盾の裏を見せられて面食った。糸七は、一雑誌の編輯....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
こが母様のうちだったと聞く。仰いで高い処に、朱の欄干のついた窓があって、そこから
顔を出す、その顔が自分の顔であったんだろうにトそう思いながら破れた垣の穴ん処に腰....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
くない事を言いたいのに過ぎない。……ところが、思いがけず、前記の可心が、この編に
顔を出す事になった。 私は――小山夏吉さん。(以下、「さん」を失礼する。俳人で....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
垂の下から、目笊を出して、 (お菜になさいな、) と硝子戸を開けて、湯あがりの
顔を出す、とおかみさん。 珍らしく夜延でもする気がして、火の玉め洋燈の心を吹き....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
そこへ、運八美術閣をはじめ、髪の長いのはもとよりですわね、残らず職人が、一束ねに
顔を出す……寒の中でしょう、鼻息が白く立って、頭が黒いの。……輝く鶏の目のまわり....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
。 木崎湖を離れてしばらく行くと、小さな坂がある。登り切ると、ヒョイと中綱湖が
顔を出す。続いてスコットランドの湖水を思わせるような青木湖、その岸を走っている時....