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顔付き
「顔付き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顔付きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
もいいそうな顔を妻の方に向けて置いて、歩きながら帯をしめ直した。良人《おっと》の
顔付きには気も着かないほど眼を落した妻は口をだらりと開《あ》けたまま一切無頓着で....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
僕がジムの絵具を取ったことを委《くわ》しく先生に言いつけました。先生は少し曇った
顔付きをして真面目《まじめ》にみんなの顔や、半分泣きかかっている僕の顔を見くらべ....
「獄中記」より 著者:大杉栄
がら言った。 「そうだ、お前は大阪にいたことがあるな。」 老看守はびっくりした
顔付きをして黙っているその男に言葉をついだ。 「いや、旦那、冗談言っちゃ困ります....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
中にすんでいるんだもの。そして、ほらひれみたいなものがあるし、顔だって魚に属する
顔付きじゃないか」 正吉が、ひそひそとささやいた。 「そうかなあ。しかし、あの....
「恐竜島」より 著者:海野十三
と伯爵は、くわっと眼をむき、大口をあいて、玉太郎から身をひき、にらみつけた。その
顔付きは、玉太郎がこれまで一度も見たことのないおそろしい形相《ぎょうそう》だった....
「火星探険」より 著者:海野十三
あわてて奥からとびだしてきた。が、この有様を見てとって、気味がわるいなあといった
顔付きになって、白髪頭《しらがあたま》を左右に振った。 「やっぱり、旅行を続けた....
「不思議なる空間断層」より 著者:海野十三
こんな人のよい、そして物やさしい女はないだろうと思った。それを一向知らないような
顔付きで、うっちゃらかしておくその友人の気がしれなかった。 そんなわけだから、....
「転機」より 著者:伊藤野枝
さるそうだがお前さんは知りませんか。」 その男はやはり、今までと同じように妙な
顔付きをして、私達を見た後にいった。 「谷中へは、誰を尋ねてお出でなさるんです?....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
行の方法を知らないのかい?」 「余計はことをいわなくてもいい。」 彼が恐ろしい
顔付きをしていい終わったか終わらないうちに、Oはそこまで引き返して来ていました。....
「赤いくつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ました。その天使は白い長い着物を着て、肩から足までもとどくつばさをはやしていて、
顔付きはまじめに、いかめしく、手にははばの広いぴかぴか光る剣を持っていました。 ....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
様にふるまいました。けれども、あの一|番おしまいに殻から出た、そしてぶきりょうな
顔付きの子家鴨は、他の家鴨やら、その他そこに飼われている鳥達みんなからまで、噛み....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
に受け答えしなければならなかった。やがて助教授宮坂は日本人的のぎこちない真面目な
顔付きでガルスワーシーを覗き込むようにしながら氏の近作「銀の匙」と「白鳥の歌」に....
「絹と紙の話と師弟の間柄の話」より 著者:上村松園
るような図が描いてあったのです。ところがそれを見られて土田麦僊さんが不思議そうな
顔付きで、この土坡の墨味がこういう風にムクーッと柔かくいってるのは一体どんな風に....
「越年」より 著者:岡本かの子
ですら悪いことを訊いたものだと思うほど加奈江も明子も不快なお互いを探り合うような
顔付きで眼を光らした。間もなく加奈江は磯子を睨んで 「無論ありませんわ。ただ先週....
「快走」より 著者:岡本かの子
一つ中を調べて見ましょうか」 「そうだね、上手に開けられたらね」 父親も賛成の
顔付きだった。母親は長火鉢にかかった鉄瓶の湯気の上に封じ目をかざした。 「すっか....