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顔見せ
「顔見せ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顔見せの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
しも押されぬ店となった。蝶子のマダム振りも板についた。使ってくれと新しい女給が「
顔見せ」に来れば頭のてっぺんから足の先まで素早く一目の観察で、女の素姓《すじょう....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
だ情けの露を知らず、のうのうそこの影法師、わがために情けがあるならば、日のみ子の
顔見せてたべ、われみずから露となって散らむ、みずから露となって散らむ――」 ゆ....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
をやめて、 「や、珍客! 珍客! どないしたはりましてん? いったい、ちょっとは
顔見せなはれな。いや、ここじゃないよ。社の方でっせ。――とにかくまあ一杯いこう!....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
を赤い太い手で持って、後見の婆さんかかみさんに連れられてお辞儀をして廻れば、所謂
顔見せの義理は済む。村は一月晩れでも、寺は案外|陽暦で行くのがあって、四月八日は....
「一つの芽生」より 著者:宮本百合子
るの誰? おかあさま」 「高橋さんですよ」 「高橋? 僕知らないや、こっちへ来て
顔見せて。よ」 顔を見ても、声を聞いても名を云われても、彼の頭はもうそれを統一....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
人よ、人死よ、とそこもここも湧揚る。 お珊は、心|静に多一を抱いた。 「よう、
顔見せておくれやす。」 「口惜い。御寮人、」と、血を吐きながら頭を振る。 「貴方....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
と見ゆ。かかることしばしばあり。 独居たまう時はいつもしかなりけむ。われには笑
顔見せたまわざること絶えてなかりしが、わがために慰めらるるや、さらば勉て慰めむと....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
交歓がしばらくつづく。 これが猛烈な喧嘩の前触れ、宣戦布告、子供芝居なら幕前の
顔見せがすんでまさに序幕が開こうとする、あのなんともいえない一瞬、大太鼓の摺打《....
「双面獣」より 著者:牧逸馬
容疑者が、フリント警察署に堂々巡りをして、一人ひとり例のアウチイ・ベエコンの前に
顔見せをやった。その中には、少女に戯れる常習犯で前科六犯という豪の者のラピイア郡....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
、司馬龍生、三升亭小勝、二世三遊亭圓生と、あとからあとからこんな文字が並んで細く
顔見せてきた。 新生、馬生、龍生、小勝――みんな初代圓生門下の逸足《いっそく》....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
小者を率いて頑張っていた。その中には見知りの者もあるかもしれないから警戒を弛めて
顔見せをしてはという話も出たが、事件はとても自分の手に負えないと見た提灯屋は、一....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
よの。なんで故郷へもどって来て、ご先祖様のまつりをせぬか、この母にちょっとでも、
顔見せぬか。親類縁者どもが、あれよこれよと案じているのも、われには弁えがつかぬか....