顕る[語句情報] »
顕る
「顕る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顕るの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
ていたのに、不幸にして疫癘のために命を隕し、かつて内に蓄うる所のものが、遂に外に
顕るるに及ばずして已んだのである。 わたくしは此に抽斎の修養について、少しく記....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
舞台の片隅を伝い行き、花道なる切穴の口に踞まる。 鐘の音。 図書、その切穴より立
顕る。 夫人すっと座を立ち、正面、鼓の緒の欄干に立ち熟と視る時、図書、雪洞を翳し....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
て波濤の音聞ゆ。やがて一個、花白く葉の青き蓮華燈籠、漂々として波に漾えるがごとく
顕る。続いて花の赤き同じ燈籠、中空のごとき高処に出づ。また出づ、やや低し。なお見....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
というまでに、辻堂で二晩寝ました。 後はどう来たか、恐い姿、凄い者の路を遮って
顕るる度に、娘は私を背後に庇うて、その鎌を差翳し、矗と立つと、鎧うた姫神のように....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
遁ぐ。――蟹五郎すかりすかりと横に追う。 鯉七。鯉の精。夕顔の蔭より、するすると
顕る。黒白鱗の帷子、同じ鱗形の裁着、鰭のごときひらひら足袋。件の竹の小笠に、面を....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
三の烏は、二の烏の裾に踞む。) 薄の彼方、舞台深く、天幕の奥斜めに、男女の姿|立
顕る。一は少紳士、一は貴夫人、容姿美しく輝くばかり。 二の烏 恋も風、無常も風、....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
前髪に隠れながら、ほとんど、顔のように見えた真向いの島田の鬢に包まれて、簪の穂に
顕るる。……窈窕たるかな風采、花嫁を祝するにはこの言が可い。 しかり、窈窕たる....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
寝てこそ言に出にしか」(三四九七)というのがあって参考になる。「顕ろまで」は、「
顕るまで」の訛で、こういう訛もまた一首の鑑賞に関係あらしめている。虹の如き鮮明な....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
閉伊川の淵の河童、恐しき息を吐き、怪しき水掻の音を立てて、紙上を抜け出で、眼前に
顕るる。近来の快心事、類少なき奇観なり。 昔より言い伝えて、随筆雑記に俤を留め....
「活人形」より 著者:泉鏡花
たき、「薄命な御方だ、御心配なさるな。請合ってきっと助けてあげます。と真実|面に
顕るれば、病人は張詰めたる気も弛みて、がっくりと弱り行きしが、頻に袂を指さすにぞ....