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「顫音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

顫音の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ところが、そのコトリと踏む一歩ごとに、リリリーン、リリリーンと、囁くような美しい顫音が響いてきたのである。それはまさしく金属線の震動音で、人形のどこかにそういう....
夜の若葉」より 著者:宮本百合子
そめたそれらの色と動きとを巻きこんで、熱心に調子を合わせているバスの絃の響、笛の顫音、ヴァイオリンの入り乱れた音などが期待を誘う雰囲気をかもして、しめられている....
ロンドン一九二九年」より 著者:宮本百合子
程をリプトン紅茶とともに流し込んで、丈夫な群集にピエロが描いた細い眉をあげながら顫音《トレモロ》でロマンスを唄っている。 だが、彼女の皮膚はきっと冷っこいのだ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。単数で表現されているものではないと思われもします。ああだけれども、やっぱりこの顫音は消えないわ。いろいろな頭のはたらき。いろいろな日常の動き。ひとへの心くばり....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、蟇《がま》の鳴く笛の音の旋律《メロディ》が聞こえていた。蟋蟀《こおろぎ》の鋭い顫音《トレモロ》は、星の閃《ひらめ》きに答えてるかと思われた。風は静かに、榛《は....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ら出る声を張り上げ、鼻にかかった打ちおろすような厳《おごそ》かな鋭い調子になり、顫音《せんおん》や鈍重な音を出し、羽ばたきのような震えがちの広い大きな身振りをし....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
たどるのが、主眼ではない。なんらかの音楽の上になんらかの語られる声を張りつけて、顫音《トレモロ》を伴わせながら無理やりに、粗野な公衆へ粗野な効果を与えるのが、主....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
鈴の音も近づき、男が遠くなると鈴の音も遠くなり、男が急な動作をするとそれにつれて顫音《せんおん》が聞こえ、男が立ち止まると鈴の音もやんだ。明らかに鈴はその男につ....
湖水と彼等」より 著者:豊島与志雄
く。そして榛の林に、湖水の上に、冷たい小さい雨の粒が忍び歎く音を立てている。その顫音が集って、仄暗い家の中の空気に頼り無い寂寥を満す時、彼女はむやみと火鉢の炭を....
ヒウザン会とパンの会」より 著者:高村光太郎
失はれたるモナ・リザ モナ・リザは歩み去れり かの不思議なる微笑に銀の如き顫音を加へて 「よき人になれかし」と とほく、はかなく、かなしげに また、凱旋の....