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顰
「顰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
には云いようのない嫌悪《けんお》の情が浮んで来た。
「またか。」
陳は太い眉を
顰《しか》めながら、忌々《いまいま》しそうに舌打ちをした。が、それにも関らず、靴....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
はない。しかし芸術家は芸術と言えば、天下の宝のように思っている。ああ言う芸術家の
顰《ひそ》みに傚《なら》えば、わたしも亦一鑵六十銭の蟹の鑵詰めを自慢しなければな....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
饒舌《しゃべ》って聞かせました。新蔵はその言葉を静に聞いていましたが、やがて眉を
顰《しか》めると、迂散《うさん》らしい眼つきをして、「来てくれるなと云うのはわか....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
と当りをつけた御用聞きの酒屋の小僧は、どこにも隠れているのではなかった。 眉を
顰めながら、その癖|恍惚した、迫らない顔色で、今度は口ずさむと言うよりもわざと試....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
りにも人は悪き事をせまじきものなり。天これを許したまわぬなり。…… 公子 (眉を
顰む。――侍女等|斉しく不審の面色す。) 博士 ……この女思込みし事なれば、身の....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
摩さんが恋しいかな。」 「恋しいよ! ああ、」 と呼吸を吐いて、見直して、眉を
顰めながら、声高に笑った。 「ははははは、按摩にこがれてこの体さ。おお、按摩さん....
「女客」より 著者:泉鏡花
。どうせ帰れば近所近辺、一門一類が寄って集って、」 と婀娜に唇の端を上げると、
顰めた眉を掠めて落ちた、鬢の毛を、焦ったそうに、背へ投げて掻上げつつ、 「この髪....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ものの羊羹なんか切んなさるなよ。」とお笑いなすって、ちょうど宅が。」 また眉を
顰めたが、 「小工面に貸本へ表紙をかぶせておりましたのをごらんなさいまして、――....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
よそから来た私にゃ、名を聞かなくっちゃ分らんじゃないか、どなただよ。」 と眉を
顰める。 「そんな顔をなすったってようございます。ちっとも恐くはありませんわ。今....
「橋」より 著者:池谷信三郎
に、空中に幾万となく数知れず浮游していた蚊を、鼻の中に吸いこんでしまった。彼女は
顰め面をして鼻を鳴らし始めた。明るい陽差しが、軒に出された風露草の植木鉢に、恵み....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
の焦げるような、厭な臭よ。」 「や、そりゃ困りましたね。」と、これを聞いて少年も
顰んだのである。 「早附木を下さい。 (はあ?) (早附木よ、お婆さん。) (は....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
を知って居る。が、何人もまだ神の姿を拝したものはない。又われ等は形而上的詭弁家の
顰に倣って、あまりにも深入りしたる推理|穿鑿に耽ろうともしない。何となれば、そは....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
一詩をのこして新潟の学校を去り在所にかえりて伯父に出京の事を語りしに、伯父は眉を
顰め、「東京にて勉学の事は我も汝に望むところなり、しかしまだ早し、卑近なり」とて....
「大切な雰囲気」より 著者:石井柏亭
尖端ものに彼の所謂埃や垢が附いて居ることは、絶えず彼の神経を刺激し、彼をして顔を
顰めさせたようである。 石井柏亭....
「活人形」より 著者:泉鏡花
「あかァぎさん、とくぞうさん。」 得三は我耳を疑うごとく、耳朶に手をあてて眉を
顰めつ、傾聴すれば、たしかに人声、 「赤城|様――得三|様。」 得三はぎょっと....