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顰め面
「顰め面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
顰め面の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
れたのを取り、誰の目にもつかずにそれを自分の外套の上にかけ、にらみ返すような強い
顰め面をしながらその部屋を出た。そして、翌朝まだ夜の明けないうちに、まったく苦し....
「橋」より 著者:池谷信三郎
に、空中に幾万となく数知れず浮游していた蚊を、鼻の中に吸いこんでしまった。彼女は
顰め面をして鼻を鳴らし始めた。明るい陽差しが、軒に出された風露草の植木鉢に、恵み....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
やっと眼を開けてぼんやりとあたりを見※した。最初は医師の顔がわかると、紛れもない
顰め面をした。次に私が目に入ると、ほっとした様子だった。しかし突然顔色が変り、起....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
、ロシア的なものからの鋭い切断が感じられるのだ。 実際チェーホフは、深刻ぶった
顰め面からも百姓的な粗野からも、歯ぐきを見せるような野卑な笑いからも、顔をそむけ....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
兀盆を突上げ加減に欄干|越。両手で差上げたから巻莨を口に預けたので、煙が鼻に沁む
顰め面で、ニヤリと笑って、 「へい、わざッとお初穂……若奥様。」 「馬鹿な。」 ....
「遁走」より 著者:葛西善蔵
いたのだ。そしてお互いにもはや言い合うようなことも尽きて、身体を横にして、互いに
顰め面をしていたのだ。 そこへ土井(やはり笹川の小説のモデルの一人)がやってき....
「グーセフ」より 著者:神西清
空はやがて柔かな紫丁香花色になる。この魅するばかりの華麗な空を見て、はじめ大洋は
顰め面をする。が間もなく海面も、優しい、悦ばしい、情熱的な――とても人間の言葉では名指すことも出来ぬ色合になる。....
「或る少女の死まで」より 著者:室生犀星
みを含んだ視線が互いにとり交されていた。酒の癖のわるいOは舌打さえして、Oらしい
顰め面をしたりした。得てこのOはよくこんな見え透いたことをやった。 医科の学生....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
いよ、そりゃ。」 「だが、あの大蒜には閉口した。」 「あっはっはっ。あの時の君の
顰め面ってなかったぜ。うちでは話の種になっている。」 「ほう。そうかい。」 「と....