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風の便り
「風の便り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風の便りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
あとを追うて満州へ行ったきり、長春かどこかで石鹸を売りながら生きのびているという
風の便りが、一度あったほかは消息が判らず、現在は母親と妹の信子と三人家族だったが....
「富士」より 著者:岡本かの子
かこ》っていた筑波の岳神夫妻の間にこれをきっかけに男女五人ほどのこどもができた。
風の便りに聞けば、山の眷属の西国の諸山にも急にこどもの出生の数を増したという。 ....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
供も一人できた。あなたは、九州で、女学校の体操教師をしていると、近頃《ちかごろ》
風の便りにききました。
時間というのは、変なものです。十年近い歳月が、当時あれ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
る。雲の上のことは半蔵なぞの想像も及ばない。もちろん、この片田舎の草叢の中にまで
風の便りに伝わって来るような流言にろくなことはない。しかし彼はそういう社会の空気....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
様子を知りたくて、暮田正香もどんな日を送っているかと自分の方から縫助にたずねた。
風の便りに聞くとも違って、実地を踏んで来た縫助の話には正香の住む京都|衣の棚のあ....
「猿面冠者」より 著者:太宰治
にも何を書いているのか判らぬくらいにくしゃくしゃと書けたらいいなと思った。題を「
風の便り」とした。書きだしもあたらしく書き加えた。こう書いた。 ――諸君は音信....
「雀」より 著者:太宰治
り逢わない。何でも、K大学を卒業してから東京の中学校の教師をしていたとかいう事を
風の便りに聞いた。 「しかし、まあ、よかったね。」と私は、少しも要領を得ない事を....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
処が、旦那様何でございます、まア其の本人が坊主でございますから、死んだと云う事を
風の便りに聞いて、本当の親と思えば、死んだ後でも悪いとは思いますまいから、お経の....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
荒くなって、※さんのたぶさを掴んで打った、とかで、田地は取上げ、という評判でね、
風の便りに聞くと、その養子は気が違ってしまったそうだよ。 その後、晩方の事だっ....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
その御不審は御尤ですが、越後にいる時分この山中に迷っている美人があると云うことを
風の便りに聞きましたから、江戸に帰る途中、もしやと思って昨日から捜した甲斐あって....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
ふこともなく、親しい人にも今の住所はなるべく明さぬやうにしてゐるのだが、どういふ
風の便りを嗅ぎわけて、母がたうとう自分の住居を突きとめたのだか、母の一念を考へて....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
中に隠棲してヘップリコを食うこともなく大正末期に至るまで長生きしたという話を私は
風の便りにきいた。....
「桜の園」より 著者:神西清
世のことは何ごとも終りありでしてな。……(ラネーフスカヤ夫人の手にキスする)もし
風の便りにでも、このわたしに終りが来たという噂がお耳にはいったら、どうか、このそ....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
のことなぞすっかり忘れてしまっておりましたのです。ところがつい最近のことですが、
風の便りか山ほととぎす。……お坊ちゃま、実はその娘がまだ手前の帰って来る日をたっ....
「月と海豹」より 著者:小川未明
きました。 その後で海豹は、悲しそうな声を立てて啼いたのです。 海豹は、毎日
風の便りを待っていました。しかし、一度約束をして行った風は、いくら待っても戻って....