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風寒
「風寒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風寒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
五十銭。小屋がつぶれて大さわぎをしたという。算術をする犬が一番面白かったと。 ◯
風寒し。炬燵にこもって、例のとおり仕事。十三枚を書いたところで、つかれを覚えてや....
「もの思う葦」より 著者:太宰治
。 ぼくもまた、二十代なのだ。舌焼け、胸焦げ、空高き雁の声を聞いている。今宵、
風寒く、身の置きどころなし。不一。 さらに一通は、 (眠られぬままに、ある夜、....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
の講談あり。 六日。 加藤と雪子と鈴木君の妹の君とかるた取る。 □夜、戸の外に西
風寒く吹く。ああわれはこの力弱き腕を自己を、高きに進ますすら容易ならざるに、なほ....
「みちの記」より 著者:森鴎外
茶菓子などもて来れど、飲食わむとする人なし。下りになりてより霧深く、背後より吹く
風寒く、忽夏を忘れぬ。されど頭のやましきことは前に比べて一層を加えたり。軽井沢停....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
もと青砥ひとりは足ずりしてあせっていても、人足たちの指先には一文の銭も当らず、川
風寒く皮膚を刺して、人足すべて凍え死なんばかりに苦しみ、ようようあちこちから不平....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
といって其晩は夜食の膳の上、一酌の酔に浮れてそゞろあるき、鼻歌に酒の香を吐き、川
風寒き千鳥足、乱れてぽんと町か川端あたりに止まりし事あさまし。室香はお吉に逢いて....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
つ、長き廊下の尽頭に至りて、そのままハタと留むべきなり。 夜はいよいよ更けて、
風寒きに、怪者の再来を慮りて、諸君は一夜を待明かさむ。 明くるを待ちて主翁に会....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
する、『女人芸術』にしてからが、この祖母の諭《いまし》めを服用していたならば、秋
風寒しなんて、しなびはしないであろうに――祖母は十九で自己を建設のために遠く出て....
「樋口一葉」より 著者:長谷川時雨
、情に酔う恋の中に身を投げいれる人々と、何気なくは書いているものの、更《ふ》けて
風寒く、空には雲のただずまい、月の明暗する窓によりて、沈黙する禿木氏と、燈火《と....
「黄金の腕環」より 著者:押川春浪
出かけたのは一番目の娘であったが、唯だ一人小さい角燈を下げて家を出ると、朧月夜に
風寒く、家を離れれば離れる程|四辺は淋しくなって、やがて森林の側まで来て見れば、....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
字架が待っていました。宿に来てからは妹の健康は異情を呈しました。それは山の上には
風寒く北向きにて日あたり悪しくまたあまりに寂寞なるためでした。妹は何となく不幸そ....
「妾宅」より 著者:永井荷風
こ唄、宵はまちそして恨みて暁と、聞く身につらきいもがりは、同じ待つ間の置炬燵、川
風寒き※子窓《れんじまど》、急ぐ足音ききつけて、かけた蒲団の格子外《こうしそと》....
「西航日録」より 著者:井上円了
狂句をつづる。 地中海寒気の為に癪起し夜昼かけて怒鳴りつゞける 十七日、天曇り
風寒し。午前十時、フランス・マルセイユに着港し、ここに滞泊す。その夜中の実景は詩....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
七トンにして、八木政吉氏その船長たり。上等客約二十人、みな白人なり。波静かなるも
風寒し。 四月二日(日曜)、快晴。ただし
風寒きこと前日のごとし。午後一時、神戸....
「三国志」より 著者:吉川英治
老翁はそれを仰ぐと、興をもよおしたらしく、声を発して、梁父の詩を吟じた。 一夜北
風寒し 万里|※雲厚く 長空雪は乱れ飄る 改め尽す山川の旧きを 白髪の老衰翁 盛....