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「風帯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

風帯の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
らず》退屈を極めていた。同時にまた彼の教えぶりも負けずに退屈を極めていた。彼は無風帯を横ぎる帆船《はんせん》のように、動詞のテンスを見落したり関係代名詞を間違え....
風野又三郎」より 著者:宮沢賢治
た、その島の近くに僕は行ったねえ、行くたって仲々容易じゃないや、あすこらは赤道無風帯ってお前たちが云うんだろう。僕たちはめったに歩けやしない。それでも無風帯のは....
五ヵ年計画とソヴェトの芸術」より 著者:宮本百合子
ロシア・プロレタリア作家連盟は、プロレタリア・リアリズムの旗を高くかかげて無風帯の中から立ち上った。 プロレタリア作家は、新たな関心で大衆に近づき、そこか....
長崎の印象」より 著者:宮本百合子
く、激しい速力で昨夜から、長崎へ、長崎へと、駛りつづけて来、緊張した神経が突然無風帯に落ちこんだような緩慢さを感じた。ゆっくり問答した結果、私共は二台の俥に乗っ....
貧乏」より 著者:幸田露伴
ろッてえんで帰っての今朝、自暴に一杯引掛けようと云やあ、大方|男児は外へも出るに風帯が無くっちゃあと云うところからのことでもあろうが、プッツリとばかりも文句無し....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
ん彼等に同化しつつある私達のうえに、窓から見るテムズの一部は朝晩の色をかえて、無風帯の日がつづいて行った。 水を吹く靴 『あらっ!』 一番さきに見つけた....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
っていた。 一時間たった。 「畜生め!」と船長が言った。「こいつあどうも赤道無風帯みたいに退屈だな。グレー、口笛を吹いて風を呼んでくれ。(註六六)」 ちょう....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
巡洋艦『提督デイウェイ』とコマンドルスキイ沖で遭遇するまでは、航路、まったくの無風帯でした。ところがその時、生れてはじめて海戦というものを目撃した――そのわれわ....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
気を覚えるであろう。二人が寂光庵に着いた頃は、恰度雷雨の前提をなす、粘るような無風帯の世界であった。が、入るとすぐに普光尼を呼んだ。然し、法水だけは、案内の尼僧....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
大渦流水域を称して、「海の水の漏れる穴」とはよくぞ呼んだりだ。 そこは、赤道無風帯のなかでいちばん湿熱がひどいという、いわゆる「|熱霧の環」のなかにある。そし....
」より 著者:岡本かの子
ように注意の外に持ち去られる。ひょっとして競漕の昂揚点に達すると、颱風の中心の無風帯とも見らるべきところの意識へ這入る。ひとの漕ぐ艇、わが漕艇と意識の区別は全く....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ぐさびた青丹の伽藍と、鹿の目が連想され、あの平和な旧都だけは、戦乱も飢饉もない無風帯のように考えられているが、事実は、なかなかそうでない。――と茶売りの老人は自....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
めた。 夕月はいつか五剣山の上に高い。船隠しの崎も、檀ノ浦の浦曲も、夜の底に無風帯の青ぐろさを抱いたまま暮れ沈んでいる。もし、かりに今夜を平家最後の夜として、....