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風情
「風情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
《わたし》が想《おもい》を懸けているばかりではない。実は姫の方からも、心ありげな
風情《ふぜい》を見せられるので、ついつい足が茂くなるのだ。」と、こう御逃げになり....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
な不祥がございませんように、どうか茂作の一命を御守りなすって下さいまし。それも私
風情《わたしふぜい》の信心には及ばない事でございましたら、せめては私の息のござい....
「或る女」より 著者:有島武郎
やかにならんでいた。その間に英国の国旗が一本まじってながめられるのも開港場らしい
風情《ふぜい》を添えていた。
遠く海のほうを見ると税関の桟橋に繋《もや》われた....
「星座」より 著者:有島武郎
は判らない。
「中島を見ろ、四十五まであの男は木刀一本と褌《ふんどし》一筋の足軽
風情だったのを、函館にいる時分何に発心したか、島松にやってきて水田にかかったんだ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。」 と云って、め組の蓋を払った盤台を差覗くと、鯛の濡色輝いて、広重の絵を見る
風情、柳の影は映らぬが、河岸の朝の月影は、まだその鱗に消えないのである。 俎板....
「悠々荘」より 著者:芥川竜之介
そのほかにも荒廃を極めたあたりの景色に――伸び放題伸びた庭芝や水の干上った古池に
風情の多いためもない訣ではなかった。 「一つ中へはいって見るかな。」 僕は先に....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
しゅうござんす。」 と翳す扇の利剣に添えて、水のような袖をあて、顔を隠したその
風情。人は声なくして、ただ、ちりちりと、蝋燭の涙白く散る。 この物語を聞く人々....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ら、店前で、やた一きめていた処でございましてね。 ちょっと私の懐中合と、鋳掛屋
風情のこの容体では、宿が取悪かったんでございますよ。というのが、焼山の下で、パッ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
が相応に広く、板塀、裏木戸、生垣の幾曲り、で、根岸の里の雪の卯の花、水の紫陽花の
風情はないが、木瓜、山吹の覗かれる窪地の屋敷町で、そのどこからも、駿河台の濃い樹....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
した。」 と早、離れてはいたが、謙造は傍なる、手向にあらぬ花の姿に、心置かるる
風情で云った。 「よく、参らっしゃる、ちとまた休んでござれ。」 「ちょっと休まし....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
と楊弓聞え、諸白を燗する家ごとの煙、両側の廂を籠めて、処柄とて春霞、神風に靉靆く
風情、灯の影も深く、浅く、奥に、表に、千鳥がけに、ちらちらちらちら、吸殻も三ツ四....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
したんですよ。ああ、恐かった。」 とそのままには足も進まず、がッかりしたような
風情である。 「何が、叔母さん。この日中に何が恐いんです。大方また毛虫でしょう、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ったような巌で、それに松、杉その他の老木が、大蛇のように垂れ下っているところは、
風情が良いというよりか、寧ろもの凄く感ぜられました。 『どうじゃ、この湖水の景色....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
の乱るるがごとく縺れて、艶に媚かしい上掻、下掻、ただ卍巴に降る雪の中を倒に歩行く
風情になる。バッタリ真暗になって、……影絵は消えたものだそうである。 ――聞く....
「活人形」より 著者:泉鏡花
注ぎて、「あれは誰方。泰助は近く寄りて、「探偵吏です。「ええ、と病人は力を得たる
風情にて、「そうして御姓名は。「僕は倉瀬泰助。と名乗るを聞きて病人は嬉しげに倉瀬....