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風狂
「風狂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風狂の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
の心もそんなときにはなにか新鮮な喜びが感じられるのだった。彼は窓際に倚《よ》って
風狂というものが存在した古い時代のことを思った。しかしそれを自分の身に当て嵌《は....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
風来僧の言葉に、耳を傾ける者はなかった。 「三町をも超える大盤石を掘貫こうという
風狂人《ふうきょうじん》じゃ、はははは」と、嗤《わら》うものは、まだよかった。「....
「風狂私語」より 著者:辻潤
風狂私語 辻潤 ▼自分は
風狂人の一種だ。俳人なら惟然坊のような人間だ。ただ俳句が....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
くにも矢立てを腰にさして胸に浮かぶ発句を書き留めることを忘れないようなところは、
風狂を生命とする奇人伝中の人である。その寡欲と、正直と、おまけに客を愛するかみさ....
「石ころ路」より 著者:田畑修一郎
の顔を見た。痩せて尖った顔で、執拗に僕を小高いところから見下している眼つきには、
風狂者によくある嶮しさのうちに一脈滑稽じみたところがある。僕が相手の気心をはかり....
「置土産」より 著者:国木田独歩
もお常も針仕事に余念なし。家内ひっそりと、八角時計の時を刻む音ばかり外は物すごき
風狂えり。 『時に吉さんはどうしてるだろう』と幸衛門が突然の大きな声に、 『わた....
「雪の宿り」より 著者:神西清
て、歌よみ、連歌師、猿楽師など申すものに何の罪科がございましょう。思えばひょんな
風狂人もあったものでございます。 わたくし風情が今更めいて天下の御政道をかれこ....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
山先生が、不在中三回もお訪ね下され、三回目の本日門の札を持って行かれたも、単なる
風狂に相違ない。宿の小紅屋に居られるなら、早速参ってお目にかかろうとな。――そこ....
「草と虫とそして」より 著者:種田山頭火
女の、油垢に汚れ朽ばみしゆふべの寝まきながら、発出《おきい》でたる心地ぞする。(
風狂文章) 古人がすでに言いきっている。油虫よ、私ばかりではないぞ、怒るな憎....
「西航日録」より 著者:井上円了
の地において懐古の詩を賦す。 古城依旧恒河辺、聞説如来転法輪、遺跡荒涼何足怪、穢
風狂雨幾千年。 (古城は昔のままに恒河のほとりにあり、聞くところでは如来が仏法を....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
。 世上への外聞もまずい。 内には、綱紀の頽廃を招こう。 従来とて、高時の
風狂的発作は一再でないが、おちついた後は、月余で常態に復している。こんどは前例に....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
の病弱で、長じてからも瘋癲の持病があり、周囲はそれも知りぬいていた。そして暗君、
風狂、奢侈、安逸、あらゆる悪政家の汚名はいま高時の名にかぶせられて来たが、高時に....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
別の理解でもなかったであろうが、この時代までは折々彼の見たようなすね者、もしくは
風狂人などと呼ばれた中年者が、風雅の人の間に伍して、投げやりの生活を認められてい....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
よ、空高く…… 私の今度の航海は必ずしも物の哀れの歌枕でも世の寂栞を追い求むる
風狂子のそれでもなかった。ただ未だ見ぬ北方の煙霞に身も霊もうちこんで見たかったの....