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「風色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

風色の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
書記官」より 著者:川上眉山
琴はやがて曲を終りて、静かに打ち語らう声のたしかならず聞ゆ。辰弥も今は相対う風色に見入りて、心は早やそこにあらず。折しも障子はさっと開きて、中なる人は立ち出....
西航日録」より 著者:井上円了
たかもわが春夏の交に似たり。ときに拙作をもってこれを叙す。 去国西航已二旬、洋中風色日加新、今朝船入彼南港、緑葉紅花冬似春。 (国を出て西に航行すること二十日、....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
れども、直立三千尺以上のウェリントン山の麓にありて、丘陵にまたがり、海湾を抱き、風色に富みたる良港なり。湾形はシドニーを小規模にしたるものにして、わが長崎港に類....
三国志」より 著者:吉川英治
しよう」 と、独り静かに入って行った。 草堂の周りは早春の光なごやかに幽雅な風色につつまれている。ふと、堂上を見れば、几席のうえにのびのびと安臥している一箇....
童話」より 著者:室生犀星
暮れ沈んでゆく姿が見えてならなかった。お俊の習慣的になった妄想はむしろこの荒涼な風色の間に見えるかれの姿を、自ら描いて楽しみ淋しむの思いが、完全なまでにこのごろ....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
で生れ、大正三年、二十六の十月までそこに住みつづけたわたしである。子供の時分みた風色ほど、山であれ河であれ、街であれ、やさしくつねに誰のまえにでも蘇生って来るも....
姫たちばな」より 著者:室生犀星
分らないこの言葉にも、一応なにか答えぬわけには行かなかった。 「我らとても、野の風色はゆめにも見たことがなかった。たまにこういう風に吹かれるのも幸せでござる。」....