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風趣
「風趣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風趣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
の防波工事にも加えることを禁じえない。防波工事の目的が、波浪の害を防いで嫁が島の
風趣を保存せしめるためであるとすれば、かくのごとき無細工な石がきの築造は、その風....
「食魔」より 著者:岡本かの子
、そのくすんだねばねばした感じから、鶫の腸の塩辛のようにも思う。鼈四郎はわたりの
風趣を強いて食味に翻訳して味わうとではないが、ここへ彼は来ると、裸麦の匂いや、鶫....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
であるので、下町からわざ/\上ってくる見物もなか/\多かった。藤や菖蒲は単にその
風趣を賞するだけであったが、躑躅には色々の人形細工がこしらえてあるので、秋の団子....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
して観賞されないらしいが、ひとたび鮑の貝に養われて人家の軒にかけられた時、俄かに
風趣を添うること幾層倍である。鮑の貝と虎耳草、富貴の家にはほとんど縁のないもので....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
い北|相模の風物であるけれども、いったん丘の上に来てしまうと、俯瞰した風景が全然
風趣を異にしてしまうのだ。ちょうどそれは、マクベスの所領クォーダーのあった――北....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
てからも筆は総て油絵用のものを用いて居られるが、この室も、純白の壁や腰板などは洋
風趣味であり、屋根裏へじかに板張りをした天井や、竹の格子子の附いた丸窓などは、茶....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
様のついている入り口から、この庭園のうちへ最も美しい花にもけっして劣らない豊かな
風趣をそなえた、太陽のように美しい一人の娘の姿があらわれた。その手には眼も醒める....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
原一帯に、妻を慕って鹿が鳴くことだろう、というので、なお、そうしたら、また一段の
風趣となるから、二たび来られよという意もこもっている。 この歌は、「秋さらば」....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
さから次第に落ち著けた。殊に今日は梅の老木に花が匂い出したのを見て、心の中でその
風趣をいたわりながら、いつまでもその余香を嗅いでいるのである。 この鶴見という....
「岡ふぐ談」より 著者:佐藤垢石
細やかなる脂肪浮き、肉はやわらかくて鮒の肉に似て甘い。味は濃膩にして、羊肉に近い
風趣があると思う。 さて、はからずも老友に、時節柄素敵な秘法の伝授を受けた。今....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
しめられた姿の裾からこぼれんとする。恰も、雨にうたれた牡丹が、まさに崩れんとする
風趣である。 その方は、狸であろう。 と、雀右衛門は小みどりを、にらみつけた....
「海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
、私はなかなかへこたれない。晒し鯨の酢味噌と異なって生鯨には、肉そのものに清快な
風趣がある。メンチボール、これは温かい上に柔らかで、何と結構な料理だろう。 こ....
「香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
。焼いても煮ても、頭も骨も歯も労することが少なく、かえって骨を味わうために一種の
風趣を感ずるのである。であるから、骨の硬い鮎を箸にした時は、下流の水温の高い緩や....
「すっぽん」より 著者:佐藤垢石
けをしてしまったのでは、汁が濃粘に過ぎて舌への刺激が強く、味覚が痺れてほんとうの
風趣を判別し得なくなる。だから、二人位で食べるとすれば、別の小鍋に大鍋の方から一....
「茶美生活」より 著者:北大路魯山人
たく無意義なものになり、堕し切ってしまうのである。ためにある種の卑俗茶と悪化し、
風趣高かるべきせっかくのお茶事を、めちゃめちゃに歪め、俗臭紛々、世の末を思わし、....