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風鈴
「風鈴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風鈴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
に残って、お君と三人で薄暗い行燈のもとに黙って坐っていた。 さっきから幾たびも
風鈴そば屋の声を聞くので、この頃の夜もだんだんに長くなったのが思われた。綿入れの....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
そうして、あなたも虫を飼うならきりぎりすを飼ってくださいと云った。虫の話がすんで
風鈴の話が出た。それから今夜は新暦の八月十五夜だという話が出た。 「暦が違います....
「秋の暈」より 著者:織田作之助
苦しい暑さをそのまま、夢に結んでいるときに、私はひんやりした風を肌に感じている。
風鈴の音もにわかに清い。蝉の声もいつかきこえず、部屋のなかに迷い込んで来た虫を、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
か判らないで、まだ誰にも引き渡すことが出来ないということでした」 あたまの上の
風鈴が忙がしく鳴り出したので、半七老人は檐をみあげた。 「おや、風が出ましたね。....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
り物ではない。上方では昔から夜なきうどんの名があったが、江戸は夜そば売りで、俗に
風鈴そばとか夜鷹そばとか呼んでいたのである。鍋焼うどんが東京に入り込んで来たのは....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
ある水売りで、売子は白地の浴衣、水玉の藍模様かなんかで、十字の襷掛け、荷の軒には
風鈴が吊ってあって、チリン/\の間に「ひやっこい/\」という威勢の好いのです。砂....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
行するのは、政を聞く時より、どんなにか得意であろう。落人のそれならで、そよと鳴る
風鈴も、人は昼寝の夢にさえ、我名を呼んで、讃美し、歎賞する、微妙なる音響、と聞え....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
たならば、この私たちの国は見渡す限りの美しき木造建築と、土と瓦と障子と、鈴虫と、
風鈴と落語、清元、歌舞伎、浄るり、による結構な文明、筋の通った明らかなる一つの単....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
腰を、えいさ、と抱きつつ、 「あれ、あれでござります。」 波が寄せて、あたかも
風鈴が砕けた形に、ばらばらとその巌端に打かかる。 「あの、岩一枚、子産石と申しま....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
つめて、型ばかりの床の間には墨絵の山水の新しい軸がかけてあった。窓には紅い硝子の
風鈴が軽い音を立てて、南の海の夕風にゆらめいていた。 欧州航路の○○丸が日本へ....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
煮るらしい匂いがプンプン鼻をついた。ガラスの簾を売る店では、ガラス玉のすれる音や
風鈴の音が涼しい音を呼び、櫛屋の中では丁稚が居眠っていました。道頓堀川の岸へ下っ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
含んだまま午睡をした。家の内は物音一つ聞えずにひっそりしている。窓の吊葱に下げた
風鈴が折々|微かに鳴るだけである。かような奥深い静寂が前に挙げたような状態で一疋....
「廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
」と、お兼はまた訊いた。 延津弥はやはり黙っていた。小さい庭にむかった檐さきの
風鈴が夜風に音を立てているばかりで、二人の沈黙は暫くつづいた。 三 ....
「おせん」より 著者:邦枝完二
ながら、更に夢の世界をさ迷い続けていた菊之丞は、ふと、夏の軒端につり残されていた
風鈴の音に、重い眼を開けてあたりを見廻した。 医者の玄庵をはじめ、妻のおむら、....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
洋人であると、しらばくれて居られる特権がある。)彼女が捲った膝の縊れが沓下の端を
風鈴草の花のように反り返らせ、露になった彼女の象牙色の肉が盛り上る其処には可愛ら....