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風音
「風音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
風音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
どまた伴《とも》もつれず、雨着《あまぎ》もつけずに参ったのでございまする。すると
風音《かざおと》の高まるが早いか、左から雪がしまいて参りました。わたくしは咄嗟《....
「白髪小僧」より 著者:杉山萠円
眼には荒野《あれの》の石より他に 見るものも無い恨みを籠《こ》めて 耳には
風音波音ばかり 他には何にも聞かれぬ恨み 鼻には湖の香|埃《ほこり》のかおり....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
事も無しに忽ち鎮まってしまうのは可怪《おか》しい。しかも自分の耳にきこえたのは、
風音でもなく、木の葉の摺れ合う音でもなく、たしかに人と人とが挑み合う音であった。....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
ち上がり、表の方へよろめき行くとガラリと戸を開けて飛び出した。 轟ッと、凄じい
風音と共に吹雪が眼口をひっ叩く。山の姿も林の影も一物も見えない闇の空間を、小鬼の....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
までの間は一際|※と致します。往来は素よりなし、山国の事でございますから木に当る
風音と谷川の水音ばかりドウードッという。折々|聞ゆるは河鹿の啼声ばかり、只今では....
「山の湯雑記」より 著者:折口信夫
では、ここに居ようと思って居る。 東京に帰らむと思ふ ひたごころ。山萩原に地伝ふ
風音....
「ベルリン大学」より 著者:寺田寅彦
仰いだり、風の音を出す器械を操縦させてもらったりした。音を出すのは器械だが、音を
風音らしくするのはやはり人間の芸術らしいと思われた。 三学期一年半のベルリン大....
「ラジオ雑感」より 著者:寺田寅彦
った怠け者の蟋蟀が木枯しの夜に死んで行くというのが大団円であったが、擬音の淋しい
風音に交じって、かすかなバイオリンの哀音を聞かせるのが割に綺麗に聞きとれるので、....
「『井伏鱒二選集』後記」より 著者:太宰治
火石は島中へ降りそそぎ申し候。大石の雨も降りしきるなり。大なる石は虚空より唸りの
風音をたて隕石のごとく速かに落下し来り直ちに男女を打ちひしぎ候。小なるものは天空....
「作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
るが、もそっと深い所に横たわっているんじゃ」彼はふと言葉をきらして小塔に咽び泣く
風音に耳を澄まして、それから更に続けた。 「故グレンジール伯は盗賊であった。命知....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
めましたからグッスリと酔いまして、もう寝ようと床に就きました頃は雪は歇みまして、
風音のみ高く聞えます。九ツ過に音のしないように、台所口から道連の小平は覗きの手拭....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
いた。ふっと、寛之助のことを思い出しても、自分の子の病、死などは、窓外をかすめる
風音ぐらいにしか感じなかった。
(医者が十分に手当をしてくれている。自分がいたと....
「取舵」より 著者:泉鏡花
音丸は貨物を積まむために立寄りたるなり。 来るか、来るかと浜に出て見れば、浜の松
風音ばかり。 櫓声に和して高らかに唱連れて、越中|米を満載したる五六|艘の船は....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
、わめいて過ぎる。 聞くだけでもう魂がかきむしられる思いのするその地獄のような
風音こそ、あたり一帯のむざんな光景に睛を点ずるものなのだが、その音のなかからは、....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
夜をして、夜が明けたれば出立しようと心得て居ると、どう/\ッと松ヶ枝に中りまする
風音、どぷり/\という春の海では有りますけれども、岸へ打付ける海音高く、時はまだ....