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「風騒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

風騒の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
令嬢アユ」より 著者:太宰治
いで悠然と宿を出た。多少、ねむそうな顔をしているが、それでもどこかに、ひとかどの風騒の士の構えを示して、夏草を踏みわけ河原へ向った。草の露が冷たくて、いい気持。....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
のかい。ときにもう何時《なんどき》だろう」 夜は更《ふ》けたり。天色沈々として風騒がず。見渡すお堀端の往来は、三宅《みやけ》坂にて一度尽き、さらに一帯の樹立《....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
「『いかで都へ』と便りを求めしもことわりなり。なかにもこの関は三関の一にして、風騒の人、心をとどむ。秋風を耳に残し、紅葉《もみぢ》を俤《おもかげ》にして、青葉....
源氏物語」より 著者:紫式部
あった。しかしその手紙は若い女房を羨望させる一女性にあてて書かれるものであった。風騒ぎむら雲迷ふ夕べにも忘るるまなく忘られぬ君 という歌の書かれた手紙を、穂の....
ふるさとの林の歌」より 著者:小川未明
雲は美しいけれど、心が知れず、 雪は冷たいけれど、白くて潔し。 四方の空に、風騒ぐも、 私の嘴を出る、声は乱れず。」 娘は、いい声でうたいました。すると....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、 (勝たねばならん! 勝たねばならん!) 人知れず――いや自己さえ意識なく、風騒ぐ池の面の小波のように絶え間なく胸に繰返していた。 宵になった。 誰が探....
私本太平記」より 著者:吉川英治
んな意味で、多年心のどこかには、 東国の人、高氏。 なる人間の存在が、時代の風騒とともに常にあった。 「さても」 俊基は、嘆息に似た声で。 「九年前の一|....
私本太平記」より 著者:吉川英治
て大塔ノ宮がその幽所で何者かに殺されたなどの取沙汰も聞えて、都じゅうは容易ならぬ風騒の中におかれだした。 そうした八月一日。 朝廷は発表した。 鎌倉をのが....
私本太平記」より 著者:吉川英治
どな病ではございませぬ。申さば、世病みと申しましょうか、河内におりましても、世の風騒に心も安からず、とかく人にはさよう沙汰されるものとみえまする」 「世病みとか....