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颯と
「颯と〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
颯との前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ちょっと傾く。 「焼きねえ、昨日も刺身だったから……」 と腰を入れると腕の冴、
颯と吹いて、鱗がぱらぱら。 「ついでに少々お焼きなさいますなぞもまた、へへへへへ....
「海異記」より 著者:泉鏡花
いるようだっけ。 すぽりと離れて、海へ落ちた、ぐるぐると廻っただがな、大のしに
颯とのして、一浪で遠くまで持って行った、どこかで魚の目が光るようによ。 おらが....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
まな。(心付く)不重宝。これはこれは海松ふさの袖に記して覚えのまま、潮に乗って、
颯と読流しました。はて、何から申した事やら、品目の多い処へ、数々ゆえに。ええええ....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
だ豪傑がある。 荒海の磯端で、肩を合わせて一息した時、息苦しいほど蒸暑いのに、
颯と風の通る音がして、思わず脊筋も悚然とした。……振返ると、白浜一面、早や乾いた....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
立出づるが、その油差の上に差置く、燈心が、その燈心が、入相すぐる夜嵐の、やがて、
颯と吹起るにさえ、そよりとも動かなかったのは不思議であろう。 啾々と近づき、啾....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
三 お月様がちょいと出て松の影、 アラ、ドッコイショ、 と沖の浪の月の中へ、
颯と、撥を投げたように、霜を切って、唄い棄てた。……饂飩屋の門に博多節を弾いたの....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
声で、水を押し上げようと努力る気勢。 玄武寺の頂なる砥のごとき巌の面へ、月影が
颯とさした。――....
「女客」より 著者:泉鏡花
、貴女が居るのに、そこを閉めておくのは気になります。」 時に燈に近う来た。瞼に
颯と薄紅。 二 坐ると炭取を引寄せて、火箸を取って俯向いたが、 ....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
突切って行く仕掛けなんです。」 やがてむらむらと立昇る白い煙が、妙に透通って、
颯と屋根へ掛る中を、汽車は音もしないように静に動き出す、と漆のごとき真暗な谷底へ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
甲を聳てる。 といううちに、ふと風が静まると、広小路あたりの物音が渡って来て、
颯と浮世に返ると、枯蓮の残ンの葉、折れた茎の、且つ浮き且つ沈むのが、幾千羽の白鷺....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
の白さに、美しき血あり、清き肌ある女性とこそ見ゆれ、もしその黒髪の柳濃く、生際の
颯と霞んだばかりであったら、画ける幻と誤るであろう。袖口、八口、裳を溢れて、ちら....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
分ければ、廂を離れて、一人は店を引込んだ。磯の風|一時、行くものを送って吹いて、
颯と返って、小屋をめぐって、ざわざわと鳴って、寂然した。 吻々吻と花やかな、笑....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
。」…… 「…………」 「声はお立てになりません、が、お桂様が、少し屈みなりに、
颯と島田を横にお振りなすった、その時カチリと音がしました。思わず、えへんと咳をし....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
|青田で。 畑のは知らない。実際、水槽に浸したのは、真蒼な西瓜も、黄なる瓜も、
颯と銀色の蓑を浴びる。あくどい李の紅いのさえ、淡くくるくると浅葱に舞う。水に迸る....
「活人形」より 著者:泉鏡花
なく、比企が谷の森の方を眺むれば、目も遥かなる畦道に、朦朧として婦人あり。黒髪|
颯と夜風に乱して白き衣服を着けたるが、月明りにて画けるごとく、南をさして歩むがご....