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飄
「飄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
るのみ。※戻《りょうれい》たる天風《てんぷう》はおもむろに馭者の毛布《ケット》を
飄《ひるがえ》せり。 「実はあっちを浪人してね……」 「おやまあ、どうして?」 ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
如くその膝下に伏拝した。又或る仏僧は皇帝の愚昧なる一言を聞くと、一拶を残したまま
飄然として竹林に去ってしまった。昔にあっては何が宗教にかくの如き権威を附与し、今....
「赤外線男」より 著者:海野十三
わるいけれど、あの人に違いない……」 その言葉の終らないうちに、帆村は向うから
飄々とやってくる潮らしき人物の袂を抑えていた。 「潮君」 「呀ッ」 青年は帆村....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
ングの複製画があった。英国印刷界を驚倒したメヂチ版の複製画があった。ニコルソンの
飄逸な筆に成った現代文豪の肖像画等があった。新らしいものではあるが、是等は大抵多....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
とて行人の足音も聞えず、自動車の警笛の響さえない。 黒眼鏡にひどい猫背の男は、
飄々として、S字状に曲った狭い坂道をのぼって行く。この男こそ、名乗りをあげるなら....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
食僧は、昼間|何処にか潜伏して、絶えて人に見えず、黄昏蝦蟇の這出づる頃を期して、
飄然と出現し、ここの軒下、かしこの塀際、垣根あたりの薄暗闇に隠見しつつ、腹に充た....
「橋」より 著者:池谷信三郎
くつかの停車場へ向けて送りだされていた。だから彼が、まるで黒いゴム風船のように、
飄然とこの屋上庭園に上ってきたとて、誰も咎める人などありはしない。彼はシイカの事....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
匂の高い総菜にも、見る目、※ぐ鼻の狭い土地がら、俤を夢に見て、山へ百合の花折りに
飄然として出かけられたかも料られぬを、狭島の夫人、夜半より、その行方が分らぬなど....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
で掛けて、浅葱の切で胴中を結えた風呂敷包を手に提げて、片手に蝙蝠傘を持った後姿。
飄然として橋を渡り去ったが、やがて中ほどでちょっと振返って、滝太郎を見返って、そ....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
、ロセツは各国人|環視の中にては事を謀るに不便なるを認めたることならん、病と称し
飄然熱海に去りて容易に帰らず、使を以て小栗に申出ずるよう江戸に浅田宗伯という名医....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
信乃 芳流傑閣勢ひ天に連なる 奇禍危きに臨んで淵を測らず ※歩敢て忘れん慈父の訓
飄零枉げて受く美人の憐み 宝刀|一口良価を求む 貞石三生宿縁を証す 未だ必ずしも....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
東三十三番に、人だすけの灸を施し、やがては高野山に上って更に修行をすると云って、
飄然と家を出た。扮装が、男の古帽子を被り、草鞋で、片手に真黒な信玄袋、片手に山伏....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
まったとか、あるいはこれから初まるとかいう風説が世間を騒がした日の正午少し過ぎ、
飄然やって来て、玄関から大きな声で、 「とうとうやったよ!」と叫った。 「やった....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
寒月が禅を談じ俳諧に遊び泥画を描き人形を捻る工房となっていた。椿岳の伝統を破った
飄逸な画を鑑賞するものは先ずこの旧棲を訪うて、画房や前栽に漾う一種異様な蕭散の気....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
それは、四五日前の地方新聞で、伯父の記事が大袈裟にでかでかと書かれてあった。 「
飄然、姿を消した新生寺住職、天光教の奥書院にて割腹す」 私はそれを横眼で読んだ....