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飛ばし
「飛ばし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飛ばしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
おぬしに殺されそくなった、人でなしじゃよ。………」
老人は、こう唾罵《だば》を
飛ばしながら、おいおい、呂律《ろれつ》がまわらなくなって来た。が、なおも濁った目....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
まきたばこ》の箱の銀紙に包んだ。それから体を反らせたと思うと、精一ぱい銅貨を投げ
飛ばした。銅貨はきらきら光りながら、風の高い浪の向うへ落ちた。するともう海女はそ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
彼はインバネスの肩を聳かせて、前後左右に雪崩《なだ》れ出した見送り人の中へ視線を
飛ばした。勿論彼の頭の中には、女づれのようだったと云う野村の言葉が残っていた。し....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
のころから非常な濫読家だったから、一週間の休暇の間に、それらの本を手に任せて読み
飛ばした。もちろん樗牛全集の一巻、二巻、四巻などは、読みは読んでもむずかしくって....
「百合」より 著者:芥川竜之介
打ち返していた。
「生意気《なまいき》!」
顔色を変えた金三は力一ぱい彼を突き
飛ばした。良平は仰向《あおむ》けに麦の畦《うね》へ倒れた。畦には露が下《お》りて....
「或る女」より 著者:有島武郎
とり》よりないんだからな。離縁状は横浜の土を踏むと一緒に嬶《かかあ》に向けてぶっ
飛ばしてあるんだ」
といってあぐらの膝《ひざ》で貧乏ゆすりをし始めた。さすがの....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
幾日分の足《た》しにもならなかった。仁右衛門はある日馬を市街地に引いて行って売り
飛ばした。そして麦と粟《あわ》と大豆とをかなり高い相場で買って帰らねばならなかっ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
《さわ》ぎて、敵手《あいて》なき喧嘩《けんか》に狂いぬ。 御者は真一文字に馬を
飛ばして、雲を霞《かすみ》と走りければ、美人は魂身に添わず、目を閉じ、息を凝らし....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
母様がここへ訪ねて来たろう。帰りがけに、飯田町から見附を出ようとする処で、腕車を
飛ばして来た、母衣の中のがそれだッたって、矢車の花を。」 と言いかけて、床の間....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
て来る風は、割合に粒の大きい軽やかな初冬の雪片をあおり立てあおり立て横ざまに舞い
飛ばした。雪片は暮れ残った光の迷子のように、ちかちかとささやかに音を立てるばかり....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、東雲の頃の極寒に、その気色たちまち変って、拳を上げて、戸を煽り、廂を鼓き、褄を
飛ばして棟を蹴た。白面|皓身の夜叉となって、大空を駆けめぐり、地を埋め、水を消そ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
浪打際を歩いたように感じたのはホンの一|瞬間、私達はいつしか電光のように途中を
飛ばして、例のお宮の社頭に立っていました。 内部に入ってホッと一と息つく間もな....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
式につらなる為に鞄を一つ下げたまま、東海道の或停車場へその奥の避暑地から自動車を
飛ばした。自動車の走る道の両がわは大抵松ばかり茂っていた。上り列車に間に合うかど....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
業は急いでどんどん進み、些細なことにはかまわなかった。すばしこい子供は半分ぐらい
飛ばしても叱られず、のろまの子供はときおり尻をひどくたたいて急がされ、むずかしい....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
上り縁を廻ったと思えば、十歳ばかりの兄の方が、早く薄べりを縁に敷いた。そこへ杖を
飛ばしたそうです。七十ぐらいの柔和なお婆さんが煙草盆を出してくれて、すぐに煎茶を....