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飛ばす
「飛ばす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飛ばすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
きょう》の区別なく、どこも森閑と音を絶って、たまに耳にはいるのは、すじかいに声を
飛ばすほととぎすのほかに、何もない。もしその中に一点でも、人なつかしい火がゆらめ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
みならず彼等の中《うち》の何者かが、彼には到底及ばなくとも、かなり高い所まで矢を
飛ばすと、反《かえ》ってその方へ賛辞を与えたりした。
容貌の醜い若者は、それで....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
っぱり出した。五冊そろえて買った本が、今はたった二冊しかない。あとはおおかた売り
飛ばすか、借しなくすかしてしまったのであろう。が、幸いその二冊のうちには、あの「....
「或る女」より 著者:有島武郎
一本」
と葉子の前にさし出した。葉子は自分が煙草をのむかのまぬかの問題をはじき
飛ばすように、
「あれはどなた?」と写真の一つに目を定めた。
「どれ」
「あれ」....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
にわに欣弥を撞《つ》きたり。 「ええあぶねえ! いい女だからいいと言うのに、撞き
飛ばすことはないじゃないか」 「人をばかにするからさ」 「ばかにするものか。実に....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
のを、ここで躊躇している内に、座を立たれては恐多い、と心を引立てた腰を、自分で突
飛ばすごとく、大跨に出合頭。 颯と開いた襖とともに、唐縮緬友染の不断帯、格子の....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
い鉄の火箸に火の起こった炭をはさんで高くあげると、それが風を食って盛んに火の子を
飛ばすのだ。すべての船は始終それを目あてにして進退をしなければならない。炭火が一....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
、おぼろげな番組の末に箭の標示がしてあった。古典な能の狂言も、社会に、尖端の簇を
飛ばすらしい。けれども、五十歩にたりぬ向うの辻の柳も射ない。のみならず、矢竹の墨....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
ちに、フト思い較べながら指すと、 「かっぱ。」 と語音の調子もある……口から吹
飛ばすように、ぶっきらぼうに古女房が答えた。 「ああ、かっぱ。」 「ほほほ。」 ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ぐるしく飜るんです。 もうそうなると、気の上った各自が、自分の手足で、茶碗を蹴
飛ばす、徳利を踏倒す、海嘯だ、と喚きましょう。 その立廻りで、何かの拍子にゃ怪....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
風が続いた。北も南も吹荒んで、戸障子を煽つ、柱を揺ぶる、屋根を鳴らす、物干棹を刎
飛ばす――荒磯や、奥山家、都会離れた国々では、もっとも熊を射た、鯨を突いた、祟り....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
て、帳の中を覗こうとした媼があったさ。汝血迷ったかといって、役僧め、媼を取って突
飛ばすと、人の天窓の上へ尻餅を搗いた。あれ引摺出せと講中、肩衣で三方にお捻を積ん....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
。 ――佐渡にも留めず、吹放った、それは外海。この紀事の七尾湾も一手の風に※を
飛ばす、霊山の威を思うとともに、いまも吹きしむ思がして、――大笹の夜の宿に、ゾッ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の紐を引断る、膝を打つ、擽る。車夫でも待っていないと、帰りがけに門口からドンと突
飛ばす、もっともそんな日は、医学士の姿を見ると、いきなり飛出して框から手を引いて....
「活人形」より 著者:泉鏡花
い附くぞ。「苦、痛、ほんとに啖ついたな。この狂女め、と振払う、むしゃぶりつくを突
飛ばす。がたぴしという物音は皿鉢飛んだ騒動なり。 外に窺う、八蔵、銀平、時分は....