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飛上る
「飛上る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飛上るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
雀が、狭い庭を、手水鉢の高さぐらいに舞上ると、その胸のあたりへ附着くように仔雀が
飛上る。尾を地へ着けないで、舞いつつ、飛びつつ、庭中を翔廻りなどもする、やっぱり....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。」 「嬢的、お妙さんか。」 と謂うと斉しく、まだ酒のある茶碗を置いた塗盆を、
飛上る足で蹴覆して、羽織の紐を引掴んで、横飛びに台所を消えようとして、 「赤いか....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
、夫に日頃あの正直な老人を」と老女が答え来るを半分聞き直様段梯子を四段ずつ一足に
飛上る、余は肺の臓の破るゝと思うほど呼吸の世話しきにも構わず其|学をして続いて上....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
では出来る事ではない。流石の渡辺刑事もゲッソリと身体が痩せて、針の落ちた音にさえ
飛上る程、神経が鋭く尖った。 支倉は早くも様子を悟ったのだろうか。浅田が何か気....
「家」より 著者:島崎藤村
宮の護符が一枚入れてあった。 正太はその意味を読んだ。思わず拳を堅めてペン軸の
飛上るほど机をクラわせた。 「橋本君、そりゃ何だネ」と幹部の一人が聞いた。 「こ....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
くらという田や畑が宅地となって毎年五六割ずつ騰貴する。甚だしきは一時に二倍三倍に
飛上る。夫までは糞桶を担いでいた百姓が俄に紋付の羽織を着る地主様となって、お邸の....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
足許の穴へ隠れたでしゅわ。 間の悪さは、馬蛤貝のちょうど隠家。――塩を入れると
飛上るんですってねと、娘の目が、穴の上へ、ふたになって、熟と覗く。河童だい、あか....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
障子を一枚開けていな。」 と黒縮緬の袖で払って出家が言った。 宗吉は針の筵を
飛上るように、そのもう一枚、肘懸窓の障子を開けると、颯と出る灰の吹雪は、すッと蒼....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
櫂でも使えば殊勝だけれども、疼痛疼痛、「お京何をする。」……はずんで、脊骨……へ
飛上る。浅草の玉乗に夢中だったのだそうである。もっとも、すぺりと円い禿頭の、護謨....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
れ、声につれ、お米は震いつくばかり、人目に消えよと取縋った。 「婆さん、明を。」
飛上るようにして、やがてお幾が捧げ出した灯の影に、と見れば、予言者はくるりと背後....
「露肆」より 著者:泉鏡花
畝って、びくりと鎌首を擡げる発奮に、手術服という白いのを被ったのが、手を振って、
飛上る。 「ええ驚いた、蛇が啖い着くです――だが、諸君、こんなことでは無い。……....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
ムダ石を一ツおかれて、甚八は顔色を変えた。 「アッ! ナ、なんだと?」 甚八は
飛上るように身を起して、盤をにらんだ。生きだとばッかり思っていた。なんたることだ....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
ら人の立上ったらしい気配がして衣摺の音がする。で、急にキッとなった彼は、椅子から
飛上ると、扉の前へ野獣の様に立開った。 と、不意に扉が開いて、大月の背中が現れ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
なかった蛙が一度にがあがあ鳴出して、潜るのもあれば、足を伸して泳ぐのもあり、道へ
飛上るのもあって、大騒ぎです。蛇は勢よく鎌首を立て、赤い舌を吐いてあちこちします....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
る時は魂が宙に浮いて、こんなものは知らなかった――池にかかった石だたみ、目金橋へ
飛上る拍子に、すってんころりと、とんぼう返り、むく起きの頭を投飛ばされたように、....