飛沫[語句情報] » 飛沫

「飛沫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

飛沫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
らいそ》に波また波が千変万化して追いかぶさって来ては激しく打ちくだけて、まっ白な飛沫《ひまつ》を空高く突き上げるように、これといって取り留めのない執着や、憤りや....
軍用鮫」より 著者:海野十三
スパートである。鮫膚と鮫膚とは火のようにすれあい鰭と鰭との叩きあいには水は真白な飛沫となって奔騰し、あるいは戦友の背中を飛魚のように飛び越えてゆくものあり、魚雷....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
波はなお怒る。鬣を風になびかして暴れる野馬のように、波頭は波の穂になり、波の穂は飛沫になり、飛沫はしぶきとくずれ込む。 その猛烈な力を感じてか、断崕の出鼻に降....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
氏の言葉につい動かされて、近附いて見た。成る程紅白だんだら縞のところに血痕らしい飛沫の痕がある。東屋氏は一層乗気になってヨットの床を調べはじめたが、やがて今度は....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
臭剤のガラス瓶だ。そしてその附近一帯に、もう乾枯びて固くなりかかった赤黒い液体の飛沫が、点々と目につきだした。女中が黄色い声をはりあげた。 「鳥山。なにか引きず....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
首にパッと白煙を上げると、海の中から大きな抹香鯨の尻穂が、瞬間跳ね曲って、激しい飛沫を叩きあげた。――しかし、人々は、苦笑しながら双眼鏡を外した。その船は、釧路....
恐竜島」より 著者:海野十三
と海水の中へ身を投げた。そのあたりが、きらきらと、まぶしく光った。それは、海水の飛沫《ひまつ》が、日に照りはえたようでもあったが、それにしては、あまりに強い光の....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
て舷側につかまって下を見た。 「おお」 提督はぎくりとした。 舷側を洗う白い飛沫の上に、一人の少女の寝姿があった。梨花だ。中国少女の梨花だ。鋼鉄の宮殿の中を....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
。西北の空からどっと吹き寄せる疾風、見る見る船はグルリと向きをかえ、人々は滝なす飛沫を一ぱいに浴びました。それにあの時の空模様の怪しさ、赭黒い雲の峰が、右からも....
無題抄」より 著者:上村松園
も掴めなかったものの形を、示されることもあります。 荒壁の乾きぐあい、撒き水の飛沫の形をみて、はたと気づいて、 「ああ、あの形をとったら――」 と、そこから....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
」と小虎は云いつつ颯と紺蛇の目の雨傘を開いた。それと同時に腰巻の唐縮緬から、血の飛沫が八方へ散ったと見たのは、今まで藤蔓に止まっていた赤蜻蛉が、驚いて逃げたので....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
き込む刃先の鋭さには勝てなかった。女性ながらも武将の後室。 颯と白紗の蚊帳に血飛沫が散って、唐紅の模様を置いた。 「人々出会えッ。曲者は仕留めたぞえ」 滝之....
キド効果」より 著者:海野十三
車輛と車輛との間が、鋼鉄車体のところといわず、連結器のところと云わず、真赤な血飛沫がベットリ附着し、下の方へ雫がポタポタと墜ちていた。墜ちた真赤な斑点は、レー....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ない、拙い処はドンドン直してやる」と、しばしば豪語していた。が、興に乗じた気焔の飛沫で豪そうな事をいっても、根が細心周密な神経質の二葉亭には勝手に原文を抜かした....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
勁風吹霧、虹霓随処浮。 (強い風が海面を吹きぬけ、夕陽が波頭を照らし、噴き上がる飛沫は霧となり、虹が随所に浮かぶのである。) 二十日、晴れ。逆風いまだやまざる....