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飛魚
「飛魚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飛魚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
た。若者の身のまわりには白い泡がきらきらと光って、水を切った手が濡《ぬ》れたまま
飛魚《とびうお》が飛ぶように海の上に現われたり隠れたりします。私はそんなことを一....
「新生」より 著者:島崎藤村
ような気もしていた。彼の心は還《かえ》りの船旅に通過した赤道の方へも行き、無数な
飛魚《とびうお》の群れ飛ぶ大西洋の波の上へも行った。十字架の形をすこし斜に空に描....
「軍用鮫」より 著者:海野十三
すれあい鰭と鰭との叩きあいには水は真白な飛沫となって奔騰し、あるいは戦友の背中を
飛魚のように飛び越えてゆくものあり、魚雷の如く白き筋を引いて潜行するものあり、い....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ていた。そのうち、ふと消えた。二三年してから僅かに三四篇また現われた。それは、「
飛魚」とか「貿易風」とかいう題の種類のもので、いくらか詩風は時代向きになったかと....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
女の頬に匂う桜色、枇杷バナナの暖かい黄、檸檬月見草の冷たい黄、銀色の翅を閃かして
飛魚の飛ぶ熱帯の海のサッファイヤ、ある時は其面に紅葉を泛べ或時は底深く日影金糸を....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
ーベア公爵の、たった一人のお嬢さまだった。 「だって、お父さま。海には、鴎だの、
飛魚はいても、猫だの、鼠だのはいないでしょう。お父さまたちのお話は、ずいぶんおか....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
を、追込まれの坊主が、鰭のごとく、キチキチと法衣の袖を煽って、 「――こちゃただ
飛魚といたそう――」 「――まだそのつれを言うか――」 「――
飛魚しょう、
飛魚し....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
に乗ったことよ! これからは当分、この連続的に退屈な低音階と、ぺいんとの香と、
飛魚と布張椅子と、雲の峰だけの世界である。 ろんどん――ジブロウタ――馬耳塞―....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
て漁舟の波のうちに隠見するもの三、四。これに鴎が飛んでいたと書けば都合よけれども
飛魚一つ飛ばねば致し方もなし。舟傾く時海また傾いて深黒なる奔潮天と地との間に向っ....
「故郷」より 著者:井上紅梅
土さん、よく来てくれた」 とまず口を切って、続いて連珠の如く湧き出す話、角鶏、
飛魚、貝殻、土竜……けれど結局何かに弾かれたような工合になって、ただ頭の中をぐる....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
に湛えられた地中海では、波がその背を蜒らしていた。ガリラヤの湖、ヨルダン川では、
飛魚が水面を飛んでいた。ピリピの分封地、ベタニヤの町、エリコ、サマリアの小村では....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
ってきました。 船は白い波がしらをけって進んでゆきました。時々甲板の上へ美しい
飛魚がはね上ることもありました。日が波のあちらへおちてゆくと海の面は火のように真....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
どうだ。今までもかなり平和で美しい夕べはあったけれど、今日のように漣一つ立たず、
飛魚一つ躍らぬと云うことはなかった。今日の静けさは美人の死のようだ。 従者 (気....
「鮪を食う話」より 著者:北大路魯山人
ので、自然宮古ものは珍重されている。 まぐろの中で一番|不味いのは、鬢長という
飛魚のような長い鰭を備えているもので、その形によって鬢長というらしい。これは肉が....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
かんとするほどなり。 二十八日、晴れ。北風涼をもたらし、朝夕秋冷を覚ゆ。午時、
飛魚の群れをなして波上を飛行せるを見る。また長途の一興なり。当夕、合奏会あり。 ....