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飜す
「飜す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飜すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「竹青」より 著者:太宰治
こすって、水満々の洞庭の湖面の夕日に映えて黄金色に輝いている様を見渡し、「秋風|
飜す黄金浪花千片か」などと所謂君子|蕩々然とうそぶいていると、 「あなた、」と艶....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
求が始まった。が、白亭も流石に人物だ。あれこれと取り繕ろって、執拗な主任の追求を
飜すようにしていたが、けれども、とうとう力尽きて、語り出した。 「……どうかこの....
「四条畷の戦」より 著者:菊池寛
の地頭に二十分の一の得分をその費用として割当てて居る。其上、朝令暮改、綸旨は掌を
飜す有様である。今若し武家の棟梁たる可き者が現れたら、恨を含み、政道を猜むの士は....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
常不断|能も貴様の無理を忍んで居る事ぞと見る人は皆、歯切を貴様に噛んで涙をお辰に
飜すは、姑に凍飯食わするような冷い心の嫁も、お辰の話|聞ては急に角を折ってやさし....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
何かいわねばならぬ番になった。 「艇長に伝えて置きましょう。しかしその決心を後で
飜すようなことはないでしょうね」 「とんでもない。一刻も早く下ろして貰いましょう....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
。揃って、すっ、はらりと、すっ、袖をば、裳をば、碧に靡かし、紫に颯と捌く、薄紅を
飜す。 笛が聞える、鼓が鳴る。ひゅうら、ひゅうら、ツテン、テン、おひゃら、ひゅ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、おいら一所に死ぬのは厭だぜ。じゃあ、おい勝手にしねえ。」 といい棄てて、身を
飜すとたちまち歩き去った。 五十七 我が手働かず、足動かず、目は....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
一首は、明日香に来て見れば、既に都も遠くに遷り、都であるなら美しい采女等の袖をも
飜す明日香風も、今は空しく吹いている、というぐらいに取ればいい。 「明日香風」と....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
えた人でなければ容易のことでは出せそうもない。 「ええ畜生、いめえましい!」身を
飜すと貧乏神は庭へ向かって走り出した。 ヒューッと小束が飛んで来る。パッと渋団....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
とになった。 浮木の姥の傍に立って、乱闘を見ていた娘の民弥が、何と思ったか身を
飜すと、町の方を目掛けて一散に、野草を蹴散らして走り出したのである。 一体どう....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
法ものの手はぐッたりと下に垂れて、忘れたように、掴んだ奴の咽喉を離した。 身を
飜すと矢を射るよう、白い姿が、車の横を突切って、一呼吸に飛んで逃げた。この小路の....
「寺じまの記」より 著者:永井荷風
たりを見ると、右に灰色した大きな建物、左に『大菩薩峠《だいぼさつとうげ》』の幟を
飜す活動小屋が立っていて、煌々《こうこう》と灯をかがやかす両側の商店から、ラヂオ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
発揮せられるのですからね。
ジイベル
(手づつなる飲み様をし、酒を床に
飜す。※燃え立つ。)
助けてくれ。火事だ。助けてくれ。地獄が燃える。
....
「妻」より 著者:神西清
じゃなくムージクかチージク〔〕を附けるんだったと、のろくさ呟きながら、私の決心を
飜すのを待つように、煮え切らぬ様子で手袋に手綱を握り、中腰になって思案していたが....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
「ふふむ。」 「や、どうも、へへ、それでは宿帳の方をなにぶん。」 くるりと身を
飜すと、スッと一飛び、トントントントントンと、梯子段を駆け下りてしまった。 ....