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飜って
「飜って〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飜っての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
むと、頃日の雨で、用水が水嵩増して溢るるばかり道へ波を打って、しかも濁らず、蒼く
飜って竜の躍るがごとく、茂の下を流るるさえあるに、大空から賤機山の蔭がさすので、....
「振動魔」より 著者:海野十三
、生まぬるいものが当ると、耳のうしろを掠めて、手帛らしい一|掴ほどのものがパッと
飜って落ちた。 「吁ッ――」と声をあげて、柿丘は頬っぺたを平手で拭ったが、反射的....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
まりかえっていた。 ただ、かの醤の陣営の目印のような高き望楼には、翩飜と大旆が
飜っていた。 その旆の下に、見晴らしのいい桟敷があって、醤主席は、幕僚を後にし....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
に皿に似た禿のある、色の黒い、目の窪んだ、口の大な男で、近頃まで政治家だったが、
飜って商業に志した、ために紋着を脱いで、綿銘仙の羽織を裄短に、めりやすの股引を痩....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
がしくさりましたか。 屹と振向かっしゃりました様子じゃっけ、お顔の団扇が飜然と
飜って、斜に浴びせて、嘉吉の横顔へびしりと来たげな。 きゃっ!と云うと刎返って....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
く小腰、――と云っても大きい――を屈めた。 突如噛着き兼ねない剣幕だったのが、
飜ってこの慇懃な態度に出たのは、人は須らく渠等に対して洋服を着るべきである。 ....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
が、 「おうい。」 と途轍もない奇声を揚げた。 同時に、うしろ向きの赤い袖が
飜って、頭目は掌を口に当てた、声を圧えたのではない、笛を含んだらしい。ヒュウ、ヒ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
廻しては、馴れない事なり、耕耘の武器で、文金に怪我をさせそうで危かしい。 また
飜って、お嬢さんの出のあたりは――何をいうのだ――かながきの筆で行く。 「あの…....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
ましたのでありまする。小宮山は論が無い、我を忘れて後に※と坐りました。 蝙蝠は
飜って、向側の障子の隙間から、ひらひらと出たと思うと、お雪が後に跟いてずっと。 ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
艪よりは潮が押し入れた、川尻のちと広い処を、ふらふらと漕ぎのぼると、浪のさきが
飜って、潮の加減も点燈ごろ。 帆柱が二本並んで、船が二|艘かかっていた。舷を横....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
勝手が違うんだ。でもとうとう遣ッつけた、可い心持だった、それから、」 と言って
飜って向うへ廻って、一個の煙草入を照らして見せ、 「これが最初だ、富山へ来てから....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
こうに立った雲の峰が、はらはらと解けて山中へ拡がりつつ、薄の海へ波を乱して、白く
飜って、しかも次第に消えるのであった。 「ああ、そうか……」 山伏は大跨で、や....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
と、激流の巌から巌へ、中洲の大巌で一度中絶えがして、板ばかりの橋が飛々に、一煽り
飜って落つる白波のすぐ下流は、たちまち、白昼も暗闇を包んだ釜ヶ淵なのである。 ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
に濡れたと思うと、松の梢を虚空から、ひらひらと降って、胸を掠めて、ひらりと金色に
飜って落ちたのは鮒である。 「火事じゃあねえ、竜巻だ。」 「やあ、竜巻だ。」 「....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
のだね。」 思わず警句一番した、女房も余りの話、つい釣り込まれてふき出したが、
飜って案ずるに笑事ではないのである。 「串戯じゃないよ。」 と向き直って、忘れ....