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食うや食わず
「食うや食わず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
食うや食わずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「電報」より 著者:黒島伝治
、「いいえいな、家《うち》に、市の学校へやったりするかいしょうがあるもんかいな。
食うや食わずじゃのに、奉公に出したんにきまっとら。」と、彼女は云い張った。 が....
「青木の出京」より 著者:菊池寛
った)どうか。俺を救ってくれ、俺は破産した自分の家名を興す重任を帯びているのだ。
食うや食わずで逼塞《ひっそく》している俺の両親は、俺の成業を首を長くして待ってい....
「熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
、相談するような調子で、穏やかに言うのだった。 「冗談言っちゃ困りますよ。みんな
食うや食わずで働いているじゃないですか。まあ、二三年は我慢してもらうんですね。」....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
らしていて、ともかくもああして妻子を養って行くのに、その応援に来る在の百姓ばかり
食うや食わずにいる法はないという腹ができて来ます。それに、ある助郷村には疲弊のた....
「分配」より 著者:島崎藤村
な生計を営んで行くのにその原料を提供する著作者が――少数の例外はあるにもせよ――
食うや食わずにいる法はないと考えた。私が全くの著作生活に移ろうとしたのも、そのこ....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
そこで、宗吉が当時寝泊りをしていたのは、同じ明神坂の片側長屋の一軒で、ここには
食うや食わずの医学生あがりの、松田と云うのが夫婦で居た。 その突当りの、柳の樹....
「竹の木戸」より 著者:国木田独歩
出してお源は涙声になり 「お前さんと同棲になってから三年になるが、その間|真実に
食うや食わずで今日はと思った日は一日だって有りやしないよ。私だって何も楽を仕様と....
「桂馬の幻想」より 著者:坂口安吾
で暮しがたつんですか」 「バカな」 「お金持なんですか」 「あれッぽちの畑じゃア
食うや食わずだな。もっとも、出戻りはミコだ」 「ミコとは?」 「神社で踊る女だよ....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
に縋り付く。 鹽「何故心得違いをした、手前も元は侍ではないか、如何に落ぶれ果て、
食うや食わずの身となるともナア、何故其の様なさもしい了簡に成ってくれた、渇しても....
「小豆島」より 著者:黒島伝治
まもあったものじゃない。彼等は年百年中働くばかりである。食う物を作りながら、常に
食うや食わずの生活をしている。 僕の親爺は百姓である。もう齢、六十にあまって、....
「決闘」より 著者:神西清
た。「それどころか、甲虫だのお天道虫だのに一所懸命になってる人の気が知れないわ。
食うや食わずの人間もいるのに。」 ラエーフスキイも同意見だ。彼は自然科学のこと....
「地上」より 著者:島田清次郎
家や学者達にはこのクリストの生活は不可解でありました。たかが大工の子ではないか。
食うや食わずの放浪的な不良青年ではないか。其奴が気違いじみたことを言って多くの青....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
「聞いて貰おう。――この一年間、寝る眼も寝ず働いて、そのお蔭で、有難いお蔭で、今
食うや食わずになり、――どうか生かしてだけは置いてくれッて頼んだ事だ。それをどう....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
晩まで、安値の報酬で学科を教授するとか、筆耕をするとかと、奔走をしたが、それでも
食うや食わずの儚なき境涯。僅な収入は母の給養にも供せねばならず、彼は遂にこの生活....
「かもめ」より 著者:神西清
つきだけです。それも無理はない。僕には財産もなし、家族は大ぜいときてますからね。
食うや食わずの男と、誰が好きこのんで結婚なんかするものか? マーシャ つまらない....