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食傷
「食傷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
食傷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
もう一年になるぜ。
A 早いものさ。一年前までは唯一実在だの最高善だのと云う語に
食傷《しょくしょう》していたのだから。
B 今じゃあアートマンと云う語さえ忘れか....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
こんで来た。かと思うと、いきなり遠ざかり、頭の中を赤い色が走った。 無我夢中で
食傷横町の狭くるしい路次を抜け、法善寺の境内にぽかりと出た。凍てついた石畳の上に....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
世の中には、ことに君が少年時代を過ごした都会という所には、毎日毎日安逸な生を
食傷するほどむさぼって一生夢のように送っている人もある。都会とは言うまい。だんだ....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
東京にいた頃、私はしきりに法善寺横丁の「めをとぜんざい屋」を想った。道頓堀からの
食傷通路と、千日前からの落語席通路の角に当っているところに「めをとぜんざい」と書....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
僕だけは格別で。」 「豈しからん、この美肉をよ、貴様一人で賞翫してみい、たちまち
食傷して生命に係るぞ。じゃから私が注意して、あらかじめ後を尾けて、好意一足の藁草....
「ニューフェイス」より 著者:坂口安吾
狙うヤツ、これぐらいどこにもこゝにもあるという鼻についたシロモノはないんですよ。
食傷して、ウンザリしきっているのです。ですから、真実天分ある者は、率直に天分をヒ....
「曽我の暴れん坊」より 著者:坂口安吾
、非常に女に好かれる。当時は豪傑万能、豪傑だらけの時代であるから、女の子が豪傑に
食傷しているせいか、どこへ行っても十郎は大もて。その上、彼は少年時代から風情を解....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
れる性質のものだということを心得る必要がある。 やたらに裸体を見せられたって、
食傷するばかりで、さすがの私もウンザリした。私のように根気がよくて、助平根性の旺....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
であった。彼女と私とは他人であった。……三人称で呼ぶべきであった。 「物質的には
食傷している。精神的には空腹だ。これが現在の生活だ。変に跛者の生活だなア」 私....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
ものだから、私にはソバの方がどれくらい御馳走か分らないが、土地の人は自宅でソバに
食傷しているのであろう。 上州は変ったところで、新年に餅を食べない家が少くない....
「大阪の憂鬱」より 著者:織田作之助
たちだけの力でよくこれだけ建てたと思えるくらい、穴地を埋めてしまった。法善寺――
食傷横丁といわれていた法善寺横丁の焼跡にも、二鶴やその他の昔なつかしい料理店が復....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
十九年十月三日(葉書) 拝啓 『ホトトギス』の予告は驚ろきましたね。小生来客に
食傷して木曜の午後三時からを面会日と定め候。妙な連中が落ち合う事と存候。ちと景気....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
お寺の胃の腑は大丈夫でござります。
これまで国を幾つも召し上がっても、
ついぞ
食傷はなさりませぬ。
筋の悪い品物を召し上がって消化なさるのは、
お前様方にわし....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
でいるのを見かけるが、私はいつもこの横町をば、自分勝手に大衆横町或はプロレタリア
食傷新道などと名づけて、常に或親しみを感じている。 私は神楽坂への散歩の行きか....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
いから、五十銭を奮発して引きさがった。 タイガーの向いに路地があってそこを俗に
食傷新道といっている、若松というしるこ屋は古くからここにある。もとこの角が絵葉書....