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「食気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

食気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
むけれど、気分は大へん好くなったよ。」――母自身もそう云っていた。その上あんなに食気《しょっけ》までついたようでは、今まで心配していたよりも、存外|恢復《かいふ....
世相」より 著者:織田作之助
えますし、スキ焼も珍らしゅうないし、まア来てくれるお客さんはお二人は別でっけど、食気よりも色気で来やはンのか、すぐ焼跡が物騒で帰《い》ねんさかい泊めてくれ。お泊....
坑夫」より 著者:夏目漱石
からようやく正気づいたのは前《まえ》申した通りである。それが機縁になって、今度は食気《くいけ》がついて、それから人格を認められていない事を認識して、はなはだつま....
道草」より 著者:夏目漱石
一|膳《ぜん》で口を拭《ぬぐ》ったなり、すぐ故《もと》の通り横になった。 「まだ食気《しょっき》が出ませんね」 「少しも旨《うま》くない」 細君は帯の間から一....
婦系図」より 著者:泉鏡花
の代り、西洋料理七皿だ。」と火箸をバタリ。 十五 「じゃあ色気より食気の方だ、何だか自棄に食うようじゃないか。しかし、まあそれで済みゃ結構さ。」 ....
食魔」より 著者:岡本かの子
も愚かしいものの持つ美しさがあって、それが素焼の壺とも造花とも感じさせる。情慾が食気にだけ偏ってしまって普通の人情に及ぼさないためかしらん。 一ばん口数を利く....
老年と人生」より 著者:萩原朔太郎
》時代の三期に分れる。幼虫時代は、醜い青虫の時代であり、成長のための準備として、食気《くいけ》一方に専念している。そして飽満の極に達した時、繭を作って蛹《さなぎ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
欲しいのかも知れん、それだと思いが可恐しい。ほんとうに石にでもなると大変。」 「食気の狂人ではござりませんに、御無用になさりまし。 石じゃ、と申しましたのは、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は隠す由もない。それは相手が全く見ず知らず、しかも色気《いろけ》があるわけでも、食気《くいけ》があるわけでもなんでもない、一方の生命の危険から、ほとんど天災とい....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
モウ胸が悪くなる。現今の汽車でもレールが悪くて半日以上も乗っているものなら、モウ食気がなくなる。一体動揺するものに乗ることが私の体には適せぬのだ。そうして左右動....
アド・バルーン」より 著者:織田作之助
かね又は新世界にも千日前にも松島にも福島にもあったが、全部行きました。が、こんな食気よりも私をひきつけたものはやはり夜店の灯です。あのアセチリン瓦斯の匂いと青い....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
ぽけなもの。まだ子供じゃないか」 「ほゝゝゝゝ。あんたは大人? あんたなんかまだ食気の方でしょう」 「もういけません」 と私は沈痛な声を出した。 姉は噴き出....
三八九雑記」より 著者:種田山頭火
―それも自給自足――をうんと与えたためだろう。ちさはあいかわらず元気百パア、私も食気百パアというところ。 畑地はずいぶん広い、とても全部へは手が届かないし、ま....
註文帳」より 著者:泉鏡花
遊ばす、婆どんの居た内はまだ稼ぐ気もあったもんだが、もう叶わねえ。 人間色気と食気が無くなっちゃあ働けねえ、飲けで稼ぐという奴あ、これが少ねえもんだよ、なあ、....
寒中滞岳記」より 著者:野中至
いう有様にて、四面包囲を受けしなり、ために運動意の如くならず、随て消化力減少して食気更に振わざるを以て、食物総て不味《ふみ》にして口に入らず、およそ食事の如きは....