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食道
「食道〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
食道の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
したかと思うと、仔鹿の胴体も、その熱のためにむくむく膨れてきて、たまらない臭気が
食道から吹きはじめると、腿《もも》の二山の間からも、透き通った、なんとも知れぬ臓....
「透明猫」より 著者:海野十三
るいなあ」 青二は、ぞっとした。魚の骨が、動物の口へはいってくだかれ、それから
食道をとおって、胃ぶくろの方へ行くらしい。それが透《す》いてみえるのだった。 「....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
山は五人の同役をつれて来て、宵からお糸の家の奥座敷で飲んでいるうちに、いろいろの
食道楽の話が出て、おれは江戸川のむらさき鯉を一度食ってみたいと云い出した者がある....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
は功を急いでいかんネ」と蝋山教授がいった。「やはりこうして咽喉から胸部を切開して
食道から気管までを取出し、端の方から充分注意して調べてゆかなけりゃ間違いが起る虞....
「蠅男」より 著者:海野十三
りではない。腹腔をたち割って、腸を三分の一に縮めた。胃袋はすっかり取り去られて、
食道と腸とが連結された。肺臓とか腎臓とか二つある内臓の一つは切除された。不用な骨....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
って、塩は永久にすてられた。宋人の茶に対する熱狂はとどまるところを知らなかった。
食道楽の人は互いに競うて新しい変わった方法を発見しようとした、そしてその優劣を決....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
なく頂戴します。」と、わたしは喉に支えそうな肉を一生懸命に嚥み込みながら云った。
食道楽のために身をほろぼした今宮という侍に、こんな料理を食わせたら何というだろう....
「大使館の始末機関」より 著者:海野十三
わい」 と金博士が、落付いた声でいった。 うむと呻った老師は、のみかけの酒を
食道の代りに気管の方へ送って、はげしく咳き込んだ。 「いや、老師先生。ここの酒は....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
いのであるが、なにしろ、少量しか飲めないので胃は岩石のように重く、からから渇いた
食道の不快さに、前途がようやく気遣われてきた。と、その暗道がとつぜん尽きたのであ....
「異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
恣にする。 午後七時になるとレストラントの扉が一斉に開く。誰が決めたか知らない
食道法律が、この時までフランス人の胃腑に休息を命じている。 フランス人は世界中....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
奴を、女の手前無理にのみ込もうとしたらしい。一旦出かかった虫は度を失って、もとの
食道へは帰らずに気管の方へ飛び込んで、それから肺へ潜り込んで、かれを窒息させてし....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
た。 が、やがて眼前には、ひらひら悪夢のなかで蠢く水母の手の代りに、今度は胃も
食道も、グイと逆さにしごかれるような感覚が起った。 それは、底のほうから、もく....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
目的に過ぎないように思うて居る、近頃は食事の問題も頗る旺であって、家庭料理と云い
食道楽と云い、随分流行を極めているらしいが、予は決してそれを悪いとは云わねど、此....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
目の底に残ってる。 二葉亭には道楽というものがなかった。が、もし強て求めたなら
食道楽であったろう。無論食通ではなかったが、始終かなり厳ましい贅沢をいっていた。....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
とった猫背の測量技師だった。「大溝」は今日の本所にはない。叔父もまた大正の末年に
食道癌を病んで死んでしまった。本所の印象記の一節にこういうことを加えるのは或は私....