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飼犬
「飼犬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
飼犬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
の軽蔑も意としないで、ただまめまめしく仕えていた。殊に娘の兼《かね》に対しては、
飼犬よりもさらに忠実だった。娘はこの時すでに婿を迎えて、誰も羨むような夫婦仲であ....
「白」より 著者:芥川竜之介
かりではありません。見知らぬ犬ならばともかくも、今犬殺しに狙われているのはお隣の
飼犬《かいいぬ》の黒《くろ》なのです。毎朝顔を合せる度にお互《たがい》の鼻の匂《....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
分が、道学者に冷かされるような事を、なぜするよ。 (世間に在るやつでごわります。
飼犬に手を噛まれると申して。以来あの御門生には、令嬢お気を着けなさらんと相成りま....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
トが始まった。二人はものも言わずに慄えていた。が、それと同時に、横井の家の小さな
飼犬が盛んに吠え出した。そしてわずか二、三分の間にお化は逃げ出してしまった。 ....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
快そうな時でした。彼は私の家の庭つづきの広い南向きの斜面の原っぱで、私共の大きな
飼犬と山羊を相手にころがりまわりました。彼のがっしりした、私には寧ろ恐ろしい程な....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ば、其処に飼われて居る犬が、これも同じように饑渇に困められては居ながら、その家の
飼犬だというので高慢らしく追い払う。饑渇に迫られ、犬仲間との交を恋しく思って、時....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
なかったが、さものんきらしく、おもしろそうに遊んでいる。 それをまたその人々の
飼犬らしい、毛色のいい、猟虎のような茶色の洋犬の、口の長い、耳の大きなのが、浪際....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
棄てにされて、その威厳の幾分を殺がれたばかりではない。誰も誰も一見して直ちに館の
飼犬だということを知って、これを従えた者は、知事の君と別懇の者であるということを....
「墓」より 著者:秋田滋
に建っている小さなほったて小屋に寐起きをしている墓番は、台所のなかへ入れておいた
飼犬がけたたましく吠えだしたので、その声に夢を破られた。 すぐに寐床を降りてい....
「初雪」より 著者:秋田滋
が、やがて、胸も張り裂けよとばかり、からからと笑いだした。銀の器に食い物をいれて
飼犬に食わせるほうが、彼には遥かに自然なことのように思われたのであろう。良人はさ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
ろ陣屋にしろどの辺であるか見当が附かぬが、信乃が幼時を過ごした大塚は、信乃の家の
飼犬が噛み殺した伯母の亀篠の秘蔵猫に因んで橋名を附けられたと作者が考証する簸川の....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
、どんな犬でも猫でも平等に愛していた。『浮雲』時代の日記に、「常に馴れたる近隣の
飼犬のこの頃は余を見ても尾を振りもせず跟をも追はず、その傍を打通れば鼻つらをさし....
「郊外生活の一年」より 著者:岡本綺堂
に蛙を聴き、ほたるを眺めようとしていた私の期待は裏切られた。その代りは犬は多い。
飼犬と野良犬がしきりに吠えている。 幾月か住んでいるうちに、買い物の不便にも馴....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
口令が布かれ、箝口せざる犬は野犬と見做されて撲殺された。然るに徳永商店では教頭の
飼犬の中の一頭だけ轡を施こして鎖で繋いだが、残りの何頭かは野犬として解放してしま....
「魔性の女」より 著者:大倉燁子
」 「うちの奥さんはね。僕をくさりでつないでおいて、適当に遊ばしてくれるんだよ。
飼犬のつもりでいやがる。いやな奴さ」 と吐き出すように云う。 「だって、御新婚....