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「飼猫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

飼猫の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
猫の踊」より 著者:田中貢太郎
たにもかかわらず、今度は脇見もせずに静に己《じぶん》の室へ帰って寝た。 老女は飼猫の怪を見たが、そんなことを口にしては、第一|壮《わか》い奥婢たちが恐れて仕事....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いて、長屋じゅうの者は眼をみあわせた。普通の猫が立ってあるく筈はない、猫婆の家の飼猫は化け猫に相違ないということに決められてしまった。その噂が家主の耳へもはいっ....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
知ってるんですけれど……可厭な声ね。きっと野良猫よ。」 それと極っては、内所の飼猫でも、遊女の秘蔵でも、遣手の懐児でも、町内の三毛、斑でも、何のと引手茶屋の娘....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
貌の男児があったが、三歳にして手足の筋骨いやに節くれだち、無心に物差しを振り上げ飼猫の頭をこつんと打ったら、猫は声も立てずに絶命し、乳母は驚き猫の死骸を取上げて....
農村」より 著者:宮本百合子
《くぼ》い所だの日光のあまり差さない様な処は、いつでも、カラカラになる事はなく、飼猫の足はいつでもこんな処で泥まびれになるのである。 小作人でも少し世襲的の財....
虎狩」より 著者:中島敦
しながら、今の今までどんな厚い皮でもたちどころに引裂くことの出来たその鋭い爪や、飼猫のそれとまるで同じな白い口髭《くちひげ》などに、そっとさわって見たりした。 ....
ある探偵事件」より 著者:寺田寅彦
どそっくりでただ尻尾が長くてその尻尾に雉毛の紋様があるだけの相違である。どこかの飼猫の子が捨てられたか迷って来たかであるに相違ないが、とにかくそのままに居着いて....
鑢屑」より 著者:寺田寅彦
であるに相違ない。 九 ある偏屈だと人から云われている男が、飼猫に対する扱い方が悪いと云ってその夫人を離縁した。そういう噂話をして面白がって....
義猫の塚」より 著者:田中貢太郎
さんに助けられた恩義があるからね」 寺男ははっとして眼を開けたが、縁側には彼の飼猫と近くの寺の猫がいるだけで他には何もいなかった。其のうちに夜になって寝たとこ....
初恋」より 著者:矢崎嵯峨の舎
辺まで近づいた。と見ると花壇に五六本の白牡丹が今を盛りと咲いていた,その花の下に飼猫の「コロ」が朝日を一杯背中に受けて、つくねんとうずくまッていた「日向ぼこりを....
帰京記」より 著者:豊島与志雄
。その戸を引あけて中にはいると、人の気配もなくて薄暗く、声をかけるとニャアーオと飼猫がのっそり出て来た。 私は隣家へ様子をききに行った。「まあ!」といったきり....
遠藤(岩野)清子」より 著者:長谷川時雨
いる、おけらもいるという騒ぎに、仔犬《こいぬ》もはしゃいで玄関から上ってくれば、飼猫《かいねこ》も出て来た。虫のとりあいをして、猫がこおろぎを食べると、犬がくや....
どら猫観察記」より 著者:柳田国男
り、寸分も油断をして居るのでは無かった。そうして食物の安全なる求め方に付いては、飼猫に数倍する技術をもって居る。 春になるとこの牝猫が、うかれ出て大いに鳴いた....