飽和点[語句情報] » 飽和点

「飽和点〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

飽和点の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
食魔」より 著者:岡本かの子
体を持っている鼈四郎はあらゆる官能慾を貪るに堪えた。ある種の嗜慾以外は、貪り能う飽和点を味い締められるが故に却って恬淡になれた。 檜垣の主人は、鼈四郎を連れて....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
どの泡一つ立たなかったのだが、恐らくそれと云うのも、その瘴気のような空気が、未だ飽和点に達しなかったからであろうか。否、その時すでに水底では、静穏な水面とは反対....
斜陽」より 著者:太宰治
ませんの?」 「いや、いや、さにあらず。実はね、これは僕の奇癖でね、お酒の酔いが飽和点に達すると、たちまちこんな工合のくしゃみが出るんです。酔いのバロメーターみ....
大阪を歩く」より 著者:直木三十五
数に於て二割六分を増加し、消費数に於て一割の減退を示しているから最早、紡績業は、飽和点に達して、衰減状態であるというような事を、論じるかもしれない。 私は、現....
よもの眺め」より 著者:宮本百合子
。フランスの所謂《いわゆる》教養の中では、十九世紀以来の個性の開花とその爛熟とが飽和点にまで達していたように見える。社会の全機構がその影響の下にあり、ガムランに....
夜の靴」より 著者:横光利一
私は農業にくらいばかりじゃなく、現在の農業は素人眼にも、抜き差しならぬ集約状態の飽和点に達しているように見受けられるものですから、一ヵ所を改革すれば、全面的に微....
技術の哲学」より 著者:戸坂潤
―政務的技術家? として養成された)。 やがて併し、資本主義社会が技術家需要の飽和点に近づき、又それに応じて農民・小商人が子弟に投資する家政的余裕が狭められて....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
二月末現在の国債所有別調の結果を発表しているが、それによると国債の消化力は殆んど飽和点に達していると解釈される。だがそれはそれとして、ここに兵農両全主義という第....
娯楽論」より 著者:戸坂潤
刺戟を限りなく増加しなければならぬ。だがそこには云うまでもなく限界がある。快感の飽和点がある。ここが快楽の危機であって、ここから快楽の浪費と快楽浪費そのものの不....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
とも面白いわね。何故ならば完成を愛す知識人は夥しいが、その場合の完成というものは飽和点としてあらわれ、つづくものは停滞ですから。そういう形で、キレイごとのすきな....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
トリイ・フョードロヴィッチとその父フョードル・パーヴロヴィッチとの反目は、すでに飽和点に達していたらしい。そのあいだがいよいよ尖鋭化して、もはや耐えがたいものに....