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養う
「養う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
養うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
の弱かった母は一粒種の彼を産んだ後さえ、一滴の乳も与えなかった。のみならず乳母を
養うことも貧しい彼の家の生計には出来ない相談の一つだった。彼はその為に生まれ落ち....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
う》思いの若党の眼に涙を催させるのが常であった。しかし彼等は二人とも、病さえ静に
養うに堪えない求馬の寂しさには気がつかなかった。
やがて寛文十年の春が来た。求....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
め》に死んでしまっているのです。母はどう云う量見《りょうけん》か、子でもない私を
養うために、捨児の嘘をついたのでした。そうしてその後二十年あまりは、ほとんど寝食....
「或る女」より 著者:有島武郎
します……全く。しかしなんぼやせても枯れても、おれは女の子の二人《ふたり》や三人
養うに事は欠かんよ。月に三百や四百の金が手回らんようなら首をくくって死んで見せる....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
地球の中心は速くに灼熱の状態を失っていなければならない。なぜかと言えば地心の火を
養うべき空気が侵入することができないからである(この点はデカルト及びライブニッツ....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
、苦しいのなんのというもんかと力んで見る。省作はしばらく井戸ばたにたたずんで気を
養うている。井戸から東へ二間ほどの外は竹藪で、形ばかりの四つ目垣がめぐらしてある....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
」 「私は働きがないのだから、婿も養子だ。お前さん養ってくれるかい。」 「ああ、
養うよ。朝から晩まですきな時に湯に入れて、御飯を食べさして、遊ばしておけばそれで....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
旦那さん、男のためどす。畜生になってな、私が天王寺の銀杏の下で、トントン踊って、
養うよってな。世帯せいでも大事ない、もう貴下、多一さんを虐めんとおくれやす。 ....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
立の間を索めて身に受けた創を調べ、この寂しい処で、人を怖れる心と、人を憎む心とを
養うより外はない。 たった一度人が彼に憫みを垂れたことがある。それは百姓で、酒....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
し見る框の上に、片肌脱ぎて立ちたるは、よりより今はわが伯母上とも行交いたる、金魚
養う女房なり。渠は片肌脱ぎたるまま、縄もて後手に縛められつ。門に出でし時、いま一....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
た罪囚の女を、心着かず入れて妾として、それがために暗殺された。この住居は父が静を
養うために古屋を購った別業の荒れたのである。近所に、癩病医者だと人はいうが、漢方....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
いのである。禽獣は、絶えず、毎日、生活の各瞬間に殺しているのだ。――人間は自らを
養うために、絶えず何かを殺しているのだが、また、快楽のためにも殺す必要があるので....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
高く売りつけてやるんだなあ。 沢本 そうすると、俺たちはうんと飯を食って底力を
養うことができるぞ。 青島 そうだ。 沢本 ああ早く我らの共同の敵なるフィリ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
里をはじめ、親類もあいそを尽かせば、嫂も断念めた。それやで、に、嫂の里へ引取って
養うてくれておった尼を連れて、東京へ、徒士町の長屋へ出向いたというものは、嫂は縁....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
下の状態に於ては世界を相手とし東亜の天地に於て持久戦争を行ない、戦争を以て戦争を
養う主義により、長年月の戦争により、良く工業の独立を完うし国力を充実して、次いで....