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餞別
「餞別〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
餞別の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
》の東西《もの》なれども、こたびの路用を資《たす》くるのみ。わが私《わたくし》の
餞別《はなむけ》ならず、里見殿《さとみどの》の賜《たま》ものなるに、辞《いろ》わ....
「星座」より 著者:有島武郎
まいと決心したのだった。
* * *
札幌に来る時、母が
餞別《せんべつ》にくれた小形の銀時計を出してみると四時半近くになっていた。その時....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
傍に。 先生はつかつかと上座に直って、 「謹、酌をしてやれ。早瀬、今のはお前へ
餞別だ。」 五十八 主税は心も闇だったろう、覚束なげな足取で、階....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
島に対しもし未練がありとすれば、ただ行きがけの駄賃として二十円なり、三十円なりの
餞別を貰ってやろうぐらいだろう。と、僕には読めた。 「あたい、ほんとうはお嫁に行....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
告があったぞ、いよいよ動員指令が下ったそうだな」 「ウン」 「ところで注意を一つ
餞別にする」 「ほほう。ありがとう」 「あの間諜座ね『魚眼レンズ』のついた撮影機....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
て、千円の紙幣束を壮平に手渡した。その千円は、実を云えば銀座を出るとき、仲間から
餞別に贈られた云わば友達の血や肉のように尊い金であったけれど、老人はワナワナ慄え....
「海底大陸」より 著者:海野十三
」―― 今スミス警部は、駆逐艦の艦橋から暗い海面をじっと見やりながら、総監から
餞別にもらったこの言葉を、いくども胸のなかにくりかえしひろげていた。夜目にも、潮....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
は母にねだって、暖かそうなフランネルのシャツとズボン下とを作ってもらって、それを
餞別に送った。 僕は大将になり損ねたが、虎公ははたしてどうしているか。彼の本名....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
懐中電燈を照らしながら崖の道を下りて、復一に父の鼎造から預った旅費と真佐子自身の
餞別を届けに来た。宗十郎夫妻に礼をいわれた後、真佐子は復一にいった。 「どう、お....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
晴れの洋行をなさるに就き、奥さまのあのときのお情けに対してわたくしは何をお礼にお
餞別しようかと考えました。わたくしは、泣く泣くお雛妓のときのあの懐かしい名前を奥....
「火星探険」より 著者:海野十三
しきり赤い声やら黄いろい声をあげ終ると、こんどは車のまわりに集ってきて、手に手に
餞別《せんべつ》の品物をさしあげ、山木と河合に贈るのだった。 二人は感激の涙に....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
と小さなものが威張って出る。見え隠れにあとを跟けて、その夜金竜山の奥山で、滝さん
餞別をしようと言って、お兼が無名指からすっと抜いて、滝太郎に与えたのが今も身を離....
「火薬庫」より 著者:岡本綺堂
を立去ると聞いて、誰もかれも今さら名残り惜しいようにも思った。 支店長は相当の
餞別を持って、向田大尉の自宅をたずねた。そうして、むろん司令部からも手伝いの者が....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
穂垂の息子が東京へエライ者になりに行くぞ目出とう送りてやれよとて、親族よりの
餞別見送り、父はそれらに勇みを付けて笑いを作りて居られたれど、母はおろおろとして....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
いやはや大変な事でした。柴公館には、その日朝暗いうちから人がわんさと押しかけて皆
餞別の贈り物をしました。その多くは貧民や苦力どもで、皆手に手に乾鶏等を贈ってその....