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饅
「饅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
饅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
太郎は、半ば無意識に辻《つじ》をまがった。辻には、石でまわりを積んだ一囲いの土
饅頭《どまんじゅう》があって、その上に石塔婆《せきとうば》が二本、並んで、午後の....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
照らしている。その日の中を向こうへ突《つっ》きって、休所へはいったら、誰かが蕎麦
饅頭《そばまんじゅう》を食えと言ってくれた。僕は、腹がへっていたから、すぐに一つ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ちっとも喫みませんから……」 八 それから名物だ、と云って扇屋の
饅頭を出して、茶を焙じる手つきはなよやかだったが、鉄瓶のはまだ沸らぬ、と銅壺から....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
うに、太い杖に片手づきしては、腰を休め休め近づいたのを、見ると、大黒頭巾に似た、
饅頭形の黄なる帽子を頂き、袖なしの羽織を、ほかりと着込んで、腰に毛巾着を覗かせた....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
の画像は、煤色の壁に吹きさらされた、袖のひだが、浮出たごとく、浸附いて、どうやら
饅頭の形した笠を被っているらしい。顔ぞと見る目鼻はないが、その笠は鴨居の上になっ....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
名を呼ぶ声にさまよい出でて、思わず謙三郎の墳墓なる埋葬地の間近に来り、心着けば土
饅頭のいまだ新らしく見ゆるにぞ、激しく往時を追懐して、無念、愛惜、絶望、悲惨、そ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
あの爺は甲州街道で、小商人、煮売屋ともつかず、茶屋ともつかず、駄菓子だの、柿だの
饅頭だのを商いまする内の隠居でございまして、私ども子供の内から親どもの話に聞いて....
「露肆」より 著者:泉鏡花
寸の鯛焼と銘を打つ。真似はせずとも可い事を、鱗焼は気味が悪い。 引続いては兵隊
饅頭、鶏卵入の滋養麺麭。……かるめら焼のお婆さんは、小さな店に鍋一つ、七つ五つ、....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
彼は往来を歩きながら「食を求め」なければならない。見馴れた酒屋を見て、見馴れた
饅頭を見て、ずんずん通り越した。立ちどまりもしなければ欲しいとも思わなかった。彼....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
い続けて来たのかもしれない。去年も城内で犯人が殺されると、癆症病みの人が彼の血を
饅頭に※して食った。 あの人達がわたしを食おうとすれば、全くあなた一人では法返....
「薬」より 著者:井上紅梅
の半分ほどに縮こまった。 その人は老栓の方に大きな手をひろげ、片ッぽの手に赤い
饅頭を撮んでいたが、赤い汁は
饅頭の上からぼたぼた落ちていた。 老栓は慌てて銀貨....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
ていてさ、山から下駄穿でしゃんしゃんと下りていらっしゃるのに、不思議と草鞋穿で、
饅頭笠か何かで遣って見えてさ、まあ、こうだわ。 (御宅の御新造|様は、私ン処に居....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
「あの窈窕たるものとさしむかいで、野天で餡ものを突きつけるに至っては、刀の切尖へ
饅頭を貫いて、食え!……といった信長以上の暴虐です。貴老も意気が壮すぎるよ。」 ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
の築山の池に、鶴が居たっけ、なあ……姉さん。……運動場で売っていた、ふかしたての
饅頭が、うまそうで堪らなかったが、買えなかった。天人の前に、餓鬼が居りゃ世話はな....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
の、おもちゃにまで出来ている。 玉子|形の色の白い……このもの語の土地では鶴子
饅頭と云うそうである、ほっとり、くるりと、そのやや細い方を頭に、緋のもみじを一葉....