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「饐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

饐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
しいで、海月《くらげ》のような低い勾配《こうばい》の小山の半腹に立っていた。物の《す》えた香と積肥《つみごえ》の香が擅《ほしいまま》にただよっていた。小屋の中....
」より 著者:島木健作
同時に房内の一隅《いちぐう》の排泄物《はいせつぶつ》が醗酵《はっこう》しきって、《す》えたような汗の臭《にお》いにまじり合ってムッとした悪臭を放つ時など、太田....
夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
無人郷であった。 漆黒の夜空の下に、巨大な建物が、黙々として、立ち並んでいた。えくさい錆鉄の匂いが、プーンと鼻を刺戟した。いつとはなしに、一行は、ぴったりと....
女肉を料理する男」より 著者:牧逸馬
らけの古い煉瓦《れんが》建てが、四六時中|細民《さいみん》街に特有な、あの、物の《す》えたような、甘酸《あまず》っぱい湿った臭いを発散させて暗く押し黙って並ん....
渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
の結果として、正隆は、自分の身辺に存在する唯一の弱者である学生に、その感情の、甘《あます》えた、胸のむかつく沈澱を、浴せかけたのである。 それにしても、正隆....
日は輝けり」より 著者:宮本百合子
ほど狭く、ごちゃごちゃと穢い通りがある。その通りもその一種で、細く暗い道一杯に、《す》えた臭いが漂っていた。ぼんやりした明りにすかして見ると、一ヵ処窪んだ、ど....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
で、流れ込んでいる。 次第に喬木の森林に入った、白く光る朽木は、悪草の臭いや、えたような地衣の匂いの中に立ち腐れになっている、うっかり手が触れると、海鼠の肌....
バルザックに対する評価」より 著者:宮本百合子
な形容詞、独り合点などだけが、大きいボロのような重さで模倣者の文章にのしかかり、《す》えた悪臭を発するに過ぎないであろう。 バルザックの文体を含味する余裕、....
地軸作戦」より 著者:海野十三
く擬装されてあった。中ではペチカがしきりに燃えていて、どの室も、頭の痛くなるほどえくさかった。宰相公室においては、例のネルスキー特使が、いかにも宰相らしく装っ....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
狭い下り坂を、ついていくと、やがて、電灯のついただだっ広い部屋が見えた。ぷーんとえくさい空気が、彼の鼻をうった。 彼の頭は、急に、ずきんずきんと痛みだした。....
丹下左膳」より 著者:林不忘
、口もとがる。四六時ちゅう、喧嘩口論の絶え間はなく、いつも荒びた空気が、この物の《す》えたようなにおいのする、うす暗い路地を占めているところから、人呼んでとん....
小さき花にも」より 著者:豊島与志雄
だ。男たちはもう童貞を失っているし、女たちはもう処女を失っている。肉体のことだ。えた匂いがしていた。ざこ寝だってなんだって、平気で出来るだろう。 だが私は、....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
上あたりを撫でる頸筋の後れ毛が、今夜はずうっと下って、乳辺にあるのに気がついた。えたような、髪毛の匂いがぷうんと鼻を衝く。 お悦だ――と彼はそうと知ると同時....
詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
半ば当っている。 象徴派風の表現が勢を得てから、「えやみ」(疫)だとか「すゆ」(ゆ)など言った辛い聯想を持った言葉が始終使われた。そうかと思うと、近代感覚を以....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
そうな障子や襖の劃りの、そこらの間毎には膏薬のいきれがしたり、汗っぽい淫らな声がえかけたりしている。浴室へ行けばぬるりと辷るし、暗くて狭くて、天井が低くて、息....