香味[語句情報] » 香味

「香味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

香味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
夜明け前」より 著者:島崎藤村
も草庵相応な黒漆を塗った折敷である。夕顔、豆腐の寺料理も山家は山家らしく、それに香味を添えるものがあれば、それでもよい酒のさかなになった。同じ大根おろしでも甘酢....
般若心経講義」より 著者:高神覚昇
れて、一切万物は存在しませぬから、『心経』の本文に、 「眼耳鼻舌身意もなく、色声香味触法もなく、眼界もなく、乃至意識界もなし」 といっているのは、結局「一切は....
露肆」より 著者:泉鏡花
成ったを、当商会において一手販売をする、抵当流れの安価な煙草じゃ、喫んで芳ゅう、香味、口中に遍うしてしかしてそのいささかも脂が無い。私は痰持じゃが、」 と空咳....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
りした。そんなにたくさんのにこにこした愛嬌のある顔(ことに黒人)や、熱帯の果物の香味や、とりわけ、町にともれ始めた灯影は、あの島に滞在していた間の陰惨な血腥い、....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
な運針とを仔細にあらためて見ねばならない。そこにはあの奥深い情味のこもった宗教の香味がそこはかとなく匂っているのである。 冥々の化ということがある。夫人の長い....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
や木の葉に蔽われてはいたが、玉のような水は濁りもせず掌に掬って飲んで見ると一種の香味と甘味とを備えて大変軟らかな水である。 果樹園と泉とを見つけてからは私は急....
食指談」より 著者:佐藤垢石
小使が打った蕎麥が素敵である。釣友正木不如丘博士が療養所の院長であるが、富士見に香味優れた蕎麥と、蕎麥打ちの名手を小使として抱えていることが、院長の日ごろの自慢....
魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
行ったところで、同じ訳合いだ。 しかし、広く日本全国を旅してみると、気品の高い香味豊かな鮎を産する川と、でない川とを知るのである。四国の那賀川や吉野川、九州の....
姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
川の上流には、石炭の層が幾重にも断続していて、そこから流れ出る炭粉のために、鮎は香味の気品を備えぬのである。鮭川の鮎もそれと同じであった。 私は、小国川と鮭川....
漬物の味〔扉の言葉〕」より 著者:種田山頭火
もいいたい白菜の塩漬もうれしいが、鼈甲のような大根の味噌漬もわるくない。辛子菜の香味、茄子の色彩、胡瓜の快活、糸菜の優美、――しかし私はどちらかといえば、粕漬の....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
存在の理由がある。緑雨の作の価値を秤量するにニーチェやトルストイを持出すは牛肉の香味を以て酢の物を論ずるようなものである。緑雨の通人的観察もまたしばしば人生の一....
鮪の茶漬け」より 著者:北大路魯山人
にいけない。 お茶の出し方 かける茶は番茶では美味くない。煎茶にかぎる。煎茶の香味と苦味とが入用である。少し濃い目の茶をかけると、調和がとれる。茶が薄くては不....
猪の味」より 著者:北大路魯山人
ないのは情けない。猪はもちろん肉の味もよいが、そればかりでなく、あの野趣を帯びた香味を尊ぶ。然るに、こう煮てしまっては、肉の香味は愚かなこと、味さえもないのであ....
日本料理の要点」より 著者:北大路魯山人
誰しも、少し食味について経験のあるものなら、はたと膝打って、そこに気付き、季節の香味を尊重して止まないようになるものである。 そこで、これに気付いたものの常と....
味覚の美と芸術の美」より 著者:北大路魯山人
も奥行きのある上品な美を持ち、葉も深々と色艶に潤いを持ち、その上、豆までが優れた香味を有する。造花職人が、西洋の草花は造り易いが、日本の草花は造りにくい、と言っ....