香奠[語句情報] » 香奠

「香奠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

香奠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
葬儀記」より 著者:芥川竜之介
葬儀の始まる時刻がきたのであろう。もう受付へ来る人も、あまりない。そこで、帳面や香奠《こうでん》をしまつしていると、向こうの受付にいた連中が、そろってぞろぞろ出....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
一層にこにこしていたそうである。ある上役《うわやく》や同僚は無駄《むだ》になった香奠《こうでん》を会費に復活祝賀会を開いたそうである。もっとも山井博士の信用だけ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
った。 赤坊が死んでから村医は巡査に伴《つ》れられて漸《ようや》くやって来た。香奠《こうでん》代りの紙包を持って帳場も来た。提灯《ちょうちん》という見慣れない....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
町に三十年住んで顔が広かったからかなり多かった会葬者に市電のパスを山菓子に出し、香奠返《こうでんがえ》しの義理も済ませて、なお二百円ばかり残った。それで種吉は病....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
無いと思ったので、半七はそこらの紙屋へ寄って、黒い水引《みずひき》と紙とを買って香奠《こうでん》の包みをこしらえた。それをふところにして徳蔵の店へゆくと、狭い家....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
半月も寝込んでしまいまして、ついつい延引いたしました」 用意して来た線香の箱に香奠《こうでん》の紙包みを添えて出すと、女房は嬉しそうに、気の毒そうに受け取って....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
い》を出すことになった。関口屋でも自分の家作内《かさくない》であるから、店の者に香奠《こうでん》を持たせて悔みにやった。 「うちの地面うちへも、とうとうコロリが....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
半七はすぐに紋七をよび出して訊くと、いま来た男はかの根岸の叔母の使で、紋作の香奠として金五両をとどけて来たのだと云った。紋七が彼に逢うのはきょうが初めてであ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
の施行は何等興味なし。 ◯萩原大祖母さん、昨夜死去。享年八十歳。お悔みに行く。(香奠金四拾円) ◯小栗虫太郎、信州より出て来る。うちへ泊る。談尽きず。彼、大元気....
」より 著者:海野十三
集っているところに訪ねてきた。そして二つの白い棺の前に恭しく礼拝したのち、莫大な香奠を供えた。彼がそのまま帰ってゆこうとするのを、人々はたって引留めた。そして口....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
の邸の裏門のあった処に、むかし番太郎と言って、町内の走り使人、斎、非時の振廻り、香奠がえしの配歩行き、秋の夜番、冬は雪|掻の手伝いなどした親仁が住んだ……半ば立....
中毒」より 著者:織田作之助
の中にも酒をつめた瓢箪が入れられた。 「この酒も入れてあげて下さい」 と言って香奠がわりに持って来る人もあった。それくらい酒好きで通っていたのだ。 そして、....
子をつれて」より 著者:葛西善蔵
月程前のことであった。彼等の一人なるYから、亡父の四十九日というので、彼の処へも香奠返しのお茶を小包で送って来た。彼には無論一円という香奠を贈る程の力は無かった....
放浪」より 著者:織田作之助
くの牛滝山へ行った。滝の前の茶店で大福餅をたべさせながらおみよ叔母は、叔母はんの香奠はどこの誰よりも一番ぎょうさんやよってお前達は肩身が広いと言い聴かせ、そして....
魯迅さん」より 著者:内山完造
ている。その中にちゃんと遺言を書いているんです。わたしの知っているどんな人からも香奠をもらってはいけない。但し老朋友はその限りでない(仲のいい友達はかまわない、....