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「香料〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

香料の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
で、痛々しいほど目の大きな、そのくせ黒目の小さな、青白い顔が、薄暗い店の奥から、香料や石鹸《せっけん》の香につつまれて、ぼんやり浮き出たように見えるのが、何か鏡....
星座」より 著者:有島武郎
さい風呂敷包とを、折り曲げた左の肘《ひじ》のところに上抱きにしていた。いっさいの香料を用いないで、綺麗さっぱりとした身だしなみは母にふさわしいものだった。母はス....
愛撫」より 著者:梶井基次郎
それに辟易《へきえき》するのである。抱きあげて見ると、その仔猫には、いつも微かな香料の匂いがしている。 夢のなかの彼女は、鏡の前で化粧していた。私は新聞かなに....
冬の日」より 著者:梶井基次郎
ター》やパンや筆を買ったあとで、ときには憤怒のようなものを感じながら高価な仏蘭西香料を買ったりするのだった。またときには露店が店を畳む時刻まで街角のレストランに....
麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
。科学的なことはお得意の筈です。それに星尾の父親というのが神戸に居ますが、これは香料問屋をやって、熱帯地方からいろいろな香水の原料を買いあつめては捌いているので....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
始的なものであった。茶の葉を蒸して臼に入れてつき、団子として、米、薑、塩、橘皮、香料、牛乳等、時には葱とともに煮るのであった。この習慣は現今チベット人および蒙古....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
猶太教でも、乳香にはボスウェリア種とテュリフェラの二種しかないからで、勿論混種の香料は宗儀上許されていないからです。つまり、薔薇乳香という一言は、貴方の心中、奥....
四次元漂流」より 著者:海野十三
分。……何事も起らない。部屋は完全なる暗黒である。五感に感ずるものは、ほのかなる香料の匂いと、そして大きくひびく道夫自身の心臓の音だけだった。 十五分……そし....
アラビヤンナイト」より 著者:菊池寛
度、この船長の船に乗って出かけました。 その帰りみち、私はある島で、持って来た香料をみんな、大へん高く売ることができました。それで、いよいよバクダッドへ上る時....
貞操問答」より 著者:菊池寛
「お姉さま、死んだ人のように眠ってたわよ。」と云った。 美和子の手元から、甘い香料が強く匂って来た。 「美和ちゃん。急に綺麗になったわねえ。」新子は、驚きをそ....
格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
へ入れて見たら、予期通り一杯やれるかどうか、その辺は頗る疑問である。多分はいくら香料をかけても、揉み上げにしみこんだ煙草の匂は羊肉の匂のようにぷんと来るであろう....
博物誌」より 著者:岸田国士
りで、配達夫のジャッコを車に載せて行き、ジャッコは、町で頼まれて来たことづけや、香料とか、パンとか、肉屋の肉とか、二、三の新聞、一通の手紙などを村々の家へ届けて....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
上手をいうような事はなかった。『蜘蛛の糸巻』に、恩人の京伝の葬式には僅かばかりの香料を包んで代理に持たせて自分は顔を出さなかったくせに、自分が書画会をする時には....
」より 著者:犬田卯
と、二年間村長は置かぬという理由で、同村長の生前の功労に報いる意味の金一千円也の香料を村から贈った直後――まだやっとそれから一ヵ月たつかたたないというのに、札つ....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
の道に出ると、温泉の湯気の香が強かった。それで始めて、彼女のからだから漂うている香料のことを考えた。道端の電柱の灯がその薫を照らしている様だった。鈍い光であった....