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香水
「香水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
香水の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
に憂鬱《ゆううつ》な眼つきになった。
……電燈を消した二階の寝室には、かすかな
香水の※《におい》のする薄暗がりが拡がっている。ただ窓掛けを引かない窓だけが、ぼ....
「葱」より 著者:芥川竜之介
《たたず》んで待っている。色の白い顔がいつもより一層また磨きがかかって、かすかに
香水の※《におい》までさせている容子《ようす》では、今夜は格別身じまいに注意を払....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
を促すように、微笑した眼を洋一へ向けた。
「ありゃさっきお絹ちゃんが、持って来た
香水《こうすい》を撒《ま》いたんだよ。洋ちゃん。何とか云ったね? あの
香水は。」....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
の手巾《ハンケチ》をまきつけていたことを覚えている。それからその手巾には「アヤメ
香水」と云う
香水の匂《におい》のしていたことも覚えている。
僕の母は二階の真下....
「或る女」より 著者:有島武郎
中にはいろうとしたが、その瞬間にはっと驚いたような顔をして立ちすくんでしまった。
香水や、化粧品や、酒の香をごっちゃにした暖かいいきれがいきなり古藤に迫ったらしか....
「或る女」より 著者:有島武郎
いい十一月末の日が熱のない強い光を射《い》つけて、アメリカから買って帰った上等の
香水をふりかけた匂《にお》い玉《だま》からかすかながらきわめて上品な芳芬《ほうふ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
か媒妁人した御縁女の贈物らしく、貰った時の移香を、今かく中古に草臥れても同一香の
香水で、追かけ追かけ香わせてある持物を取出して、気になるほど爪の伸びた、湯が嫌ら....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
「あ、」と声を立てたほどである。 雫を切ると、雫まで芬と臭う。たとえば貴重なる
香水の薫の一滴の散るように、洗えば洗うほど流せば流すほど香が広がる。……二三度、....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
れて、家主の手から剃刀を取った。 間を隔てた座敷に、艶やかな影が気勢に映って、
香水の薫は、つとはしり下にも薫った。が、寂寞していた。 露路の長屋の赤い燈に、....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
花を持った。町でも人が沢山見に行き、下の流れを飲んで酔うといえば、汲んで取って、
香水だと賞めるのもある。……お嬢さん……私の事です。」 と頬も冷たそうに、うら....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
いった勢。しゃぼんの泡は、糸七が吉原返りに緒をしめた雪の烏帽子ほどに被さる。冷い
香水がざっと流れる。どこか場末の床店が、指の尖で、密とクリームを扱いて掌で広げて....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
、(あり)という鼻をひこつかせて、 「旦那、まあ、あら、まあ、あら良い香い、何て
香水を召したんでございます。フン、」 といい方が仰山なのに、こっちもつい釣込ま....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
しっくり合ってるけれども、その為人は大いに違って、島野は、すべて、コスメチック、
香水、巻莨、洋杖、護謨靴という才子肌。多磨太は白薩摩のやや汚れたるを裾短に着て、....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
床の持分となると傍へは行かない。目下文明の世の中にも、特にその姿見において、その
香水において、椅子において、ばりかんにおいて、最も文明の代表者たる床屋の中に、こ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、母衣のすかしから、白い指で、往来へ棄てたんでがす。 後で知れました。白書薇の
香水なんで。山の井医学士夫人、子爵山河内定子は、いつでもこの
香水の薫がする。 ....