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「香箱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

香箱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老年」より 著者:芥川竜之介
の上には、端唄《はうた》本が二三冊ひろげられて頸に鈴をさげた小さな白猫がその側に香箱《こうばこ》をつくっている。猫が身うごきをするたびに、頸の鈴がきこえるか、き....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
にも替えがたい品で、昔|豊太閤《ほうたいこう》様から拝領しなましたとかいう唐来の香箱なのでござります。それも、盗ませるおりに、もし首尾よくその香箱を持ち出してき....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
瞬間からで、 「眠剤を!」 と老人は厳かに云った。 「…………」無言で卓の上の香箱を、つと取り上げた美しい乙女は、それを老人の手へ渡した。香箱を受け取った老人....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
三月三日。別に買った雛も無いから、細君が鶴子を相手に紙雛を折ったり、色紙の鶴、香箱、三方、四方を折ったり、あらん限りの可愛いものを集めて、雛壇を飾った。 草....
子猫」より 著者:寺田寅彦
がかりに見に行くそうである。秋になってその氷屋は芋屋に変わった。店先の框の日向に香箱を作って居眠りしている姿を私も時々見かける。前を通るたびには、つい店の中をの....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
に嬉しき枕をかわしました。 露「新三郎さま、是は私の母さまから譲られました大事な香箱でございます、どうか私の形見と思召しお預り下さい」 と差出すを手に取って見....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、衣裳葛籠《いしょうつづら》、煙草盆《たばこぼん》、煙管《きせる》、茶碗、湯呑、香箱《こうばこ》の類、太鼓、鼓、笛や三味線までも投げ尽したが、もう立臼のような投....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
ア喰って魂消て誉めて居た傍に置いた荷物が無え、何より中の品物が証拠だ、麦藁細工の香箱が七つに御守がある、そりゃア村の多治郎、勘太郎、新藏、文吉、藤治郎、多藏、彌....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
が、手をさしのべて、中から引き出したのは、若い娘などの持ちたがる蒔絵《まきえ》の香箱《こうばこ》であります。 それを、大事そうに、以前のところまで持って来たお....
円朝の牡丹灯籠」より 著者:田中貢太郎
た。お露は新三郎の手を執って蚊帳の中へ入った。そして、暫くしてお露は、傍にあった香箱を執って、 「これは、お母さまから形見にいただいた大事の香箱でございます、こ....
ブレーメンの町楽隊」より 著者:楠山正雄
ろ年をとって来てね、歯はばくばくになる、ねずみのやつをおいまわすよりか、ろばたで香箱つくって、ごろにゃん、ごろにゃん、のどをならしていたくなるさ。そこで、主人の....
人面瘡物語」より 著者:田中貢太郎
朝飯の饗応になって一休みした八郎が出発しようとすると、病人は家来の一人に唐渡の香箱と硯を持って来さして、それを八郎の前へ出した。 「これは疎末なものでござるが....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
貌の輪郭も。その作品を完成させんがために、一身のあらゆる資力が徴集される。記憶の香箱が開かれて、そのもろもろの香《かお》りが発散する。精神は感覚を解放する。感覚....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
なのだという。(子をば食う蟹)か、と考えた。……女が売るだけにこれは不躾だった。香箱蟹だそうである。ことりと甲で蓋をしていかにも似ている。名の優しい香箱を売る姉....
青いボタン」より 著者:小川未明
ただいたの。これを、あなたにあげますわ。」といって、彼女は、小さな蒔絵のしてある香箱のふたを開けて、中から、三|個のボタンを出して、正雄の手に渡しました。 正....