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「馬子唄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

馬子唄の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
旦那が行かない晩は淋しくっていけねえから遊びに来《こ》うと云うから、己が詰らねえ馬子唄アやったり麦搗唄《むぎつきうた》は斯《こ》う云うもんだって唄って相手をする....
草枕」より 著者:夏目漱石
をかけて、鈴を鳴らしている。今の世の馬とは思われない。 やがて長閑《のどか》な馬子唄《まごうた》が、春に更《ふ》けた空山一路《くうざんいちろ》の夢を破る。憐れ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
神田に住んでいましたが、十四五年前から山の手の場末へ引っ込んでしまいまして……。馬子唄で幕を明けるようになっちゃあ、江戸っ子も型なしです。」と、老人はまた笑った....
忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
来るのが手に取るように聞こえだした。 『しばらくすると朗々な澄んだ声で流して歩く馬子唄が空車の音につれて漸々と近づいて来た。僕は噴煙をながめたままで耳を傾けて、....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
伊那の谷からの通路にあたる権兵衛街道の方には、馬の振る鈴音に調子を合わせるような馬子唄が起こって、米をつけた馬匹の群れがこの木曾街道に続くのも、そういう時だ。 ....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
道へ別れて行く。その相良の城下はずれの追分には、何事もなかったように、上り下りの馬子唄と、馬の鈴の音がしゃらん、しゃららんと――。....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
という、東俣の谷と、西俣の谷とは、下流三里のところで一つになり、初めて田代川――馬子唄で名の高い、海道一の大井川の上流――となって、西南の方向へと、強い傾斜を走....
丹下左膳」より 著者:林不忘
にすべく、死を賭した決意を見せて、不浄門から放された剣狂丹下左膳、そのころはもう馬子唄のどかに江戸表へ下向の途についていた。 おもて向きは浪々でも、その実、太....
戯作者」より 著者:国枝史郎
行く。駕籠で飛ばせる人もあり、品川宿の辺りからは道中馬も立つと見えて、竹に雀はの馬子唄に合わせ、チャリンチャリンと鈴の音が松の並木に木精を起こし、いよいよ旅情を....
剣侠」より 著者:国枝史郎
。駕籠が行き駄賃馬が通り、旅人の群が後から後から、陸続として通って行き、鈴の音、馬子唄の声、その間にまじって虚無僧の吹く、尺八の音などが聞こえてきた。 と、旅....
酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
宿を過ぎた頃は、夕暮れに近い。 七 追分の宿へ着いたら、夜になった。馬子唄に唄う、 浅間さんなぜ焼きやさんす 裾に十七持ちながら の唄....
漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
○ 明治三十九年八月十日(葉書) 先刻はありがとう存じます。その節の馬の鈴と馬子唄の句は、 春風や惟然が耳に馬の鈴 馬子唄や白髪も染めでくるゝ春 と致し候。....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の追分です。節廻しが凡て艪拍子に連れて動いて、緩く、哀調になっています。信濃のは馬子唄ですから、上り下りの山路の勾配から、轡の音、馬の歩調に合せて出来上ったもの....