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馬鹿丁寧
「馬鹿丁寧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
馬鹿丁寧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
の家《うち》へ行って、用もない松へ大事そうな雪除《ゆきよけ》をした所や、狭い庭を
馬鹿丁寧《ばかていねい》に枯松葉で敷きつめた景色《けしき》などを見る時ですら、彼....
「私の個人主義」より 著者:夏目漱石
を、ほどよく焼いて、主人と客とに勧めました。ところが食う方は腹も減っていず、また
馬鹿丁寧《ばかていねい》な料理方で秋刀魚の味を失った妙《みょう》な肴を箸《はし》....
「大阪を歩く」より 著者:直木三十五
円のを二つ」と、云ったかも知れない。これが、商売のこつである。 私は、店員に、
馬鹿丁寧な挨拶をしろ、というのでは無い。少くも、一流の店の店員としては、第一に、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
われない先に弁信は丁寧に名乗って、お辞儀をしてその前を通り過ぎました。お蝶はその
馬鹿丁寧をおかしいと思いながらも、盲目《めくら》だというのに、どうしてここに辻番....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
さいまし、お休みのところをお驚かし申して甚だ失礼でございますが……」 この際、
馬鹿丁寧な前置はいらないはず。 「いったい、どうしたのです」 「あの、ただいまこ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
「では、その代物《しろもの》のお引取りを願いましょうかな」
と、暗い中へ向って
馬鹿丁寧に一つ頭を下げてから、額越しに闇の中をじっと見込んだ身のこなし。やっぱり....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
来ました。 そのお椀を目八分に捧げて、推しいただいて持って来る有様というものが
馬鹿丁寧で、見ていられるものではありません。 「南無黒犬大明神様、何もございませ....
「栄蔵の死」より 著者:宮本百合子
、田舎者に一種の恐れを抱かせるに十分であった。 栄蔵の枕のわきに座って、始めは
馬鹿丁寧に腰を低くして、自分の出来るだけは勉強しようの、病気はどんな工合だなどと....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
見た与吉は、相手の水ぎわだった男ぶりにちょっとまぶしそうにまごまごしたが、すぐに
馬鹿丁寧な口調で、
「エエ手前は、ただいまお立ち寄りくだすった両口屋の者でござい....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、二人の間には珍しいことであるが、とくにクリストフにおいては珍しいことであるが、
馬鹿丁寧さを装って、冷やかに争っていた。クリストフの喉《のど》には言葉がまだつま....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
て二階へ上って行った。 夫人の部屋の扉を、ノックすると、 「どうぞ!」と、いう
馬鹿丁寧な返事に、新子は針の山へ入る思いで、部屋にはいった。 招じられたぜいた....
「暗夜の格闘」より 著者:小酒井不木
体検査を受けました。ことに竹内さんは嫌な顔をしました。すると俊夫君は意地悪くも、
馬鹿丁寧に、竹内さんの洋服のポケットをいちいち調べました。しかし白金の塊は木村さ....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
って、腰の下まで両手を垂らして。後からくっついてきた小圓太もついいっしょになって
馬鹿丁寧なお辞儀をした。でもやっぱりここでも師匠のお辞儀のほうが少し長かった。 ....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
り声で何者ぞと怪しみ誰何せば、びっくりしてしばらく眼を見張り、ようやく腰を屈めて
馬鹿丁寧に、大工の十兵衛と申しまする、御普請につきましてお願いに出ました、とおず....
「俗臭」より 著者:織田作之助
下げた。この女は大変いんぎんな態度の女である。この女が挨拶をする時の時間の永さと
馬鹿丁寧さにはいつも伝三郎の妻は困るのである。が、伝三郎の妻もその都度、相手に負....