駈け上る[語句情報] » 駈け上る

「駈け上る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

駈け上るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
空中墳墓」より 著者:海野十三
と相良が低く叫んだ。私達は黙っていた。 自動車が庁舎の前のゆるい勾配を一気に駈け上ると、根賀地が第一番に広場の砂利の上に降り立った。入口にピタリと身体をつけ....
千鳥」より 著者:鈴木三重吉
と物置の方へ行って、そこから稲妻の形に山へついた切道を、すたすたと片跣足のままで駈け上る。高みに立てば沖がずっと見えるのである。そして、隣村の埠頭場から出る帆が....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
と云って、草履をつッかけて案内に立った。酒ぶとりした六十翁の、溝を刎ね越え、阪を駈け上る元気は、心の苦から逃れようとする犠牲のもがきの様で、彼の心を傷ませた。や....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
しろへ撥ねて、悠然と梯子段を上りきった。 逃げるようにつづいて、千浪が小刻みに駈け上る。 戸外《そと》は、盥《たらい》の水を叩きつけるよう、轟《ごう》っ! ....
難船小僧」より 著者:夢野久作
は切り棄てる事二万|哩。その仕事に行き詰まると、今のピストルを二挺持って上甲板に駈け上る。主檣に群がる軍艦鳥を両手でパンパンと狙い撃にして「アハハハハ」と高笑い....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
へのめる機みに鉄灯籠を突飛し、円柱で頭を打ちまして経机の上へ尻餅をつく。須弥壇へ駈け上ると大日如来が転覆かえる。お位牌はばた/\落ちて参る。がら/\どんと云う騒....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
同じ一所を渦のようにグルグル廻ったりした。俄然駕籠は走り出した。どうやら坂道でも駈け上るらしい。と、不意に立ち止まった。 「やれやれどうやら着いたらしいな」こう....
大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
、間の襖が開き、何かチロチロと入って来た。それは一匹の大|鼬であって、颯と床間へ駈け上ると、壺と地図とを両手で抱え、それから後足で立ち上り、静かに隣部屋へ引返し....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
バラバラと飛礫が雨のように降って来た。 だが恐れない二人であった。サーッと上へ駈け上る。 と、一つの辻へ出た。森林の中に八本の道が、全く同じ形をとり、八方へ....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
裏戸の破られた音が聞こえた。 乱入して来る足音が聞こえた。 間もなく階段を駈け上る、数人の足音が聞こえてきた。 「よし降り口に待ちかまえていて……」と、主....
ロウモン街の自殺ホテル」より 著者:牧逸馬
のように顫えているマダム・セレスティンを取り巻いて、一行は、跫音を轟かして三階へ駈け上る。マダムは、呼吸を切らして呶鳴りつづけた。 「死んでるんですよ! ガリバ....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
けない、もっと高いところをと見廻わすと、茶屋の後に大きな草山がある、気もそぞろに駈け上る。元より道はない。枯草を分け熊笹の中を押してゆく、足元から俄に二つの兎が....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
ねえ、旦那様! 確かにお嬢さんの幽霊だ! ほら、早く来て御覧なせえ! ……そこを駈け上ると、見えまさア! ずっと向うにお墓がある!」 急に勇み立った四、五人の....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
安眠妨害だよ。さあ、出よう。」 出ましょう出ましょうで、一同がどかどかと階段を駈け上る。それ、麦酒だ、コップだ、いいか。 でかんしょ、でかんしょと、山家の猿は....
森の石松」より 著者:山中貞雄
、変った事があれば、故郷の親父の処へ手紙を出して呉れ。いいか」 その時、階段を駈け上る足音と、鶴吉の声が聞える。 「さア家探しなと、何なと勝手にしろ。石松な....