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駭然
「駭然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
駭然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「突貫紀行」より 著者:幸田露伴
坐《ざ》して人の来るを待ち、一ノ戸まで何ほどあるやと問うに、十五里ばかりと答う。
駭然《がいぜん》として夢か覚《うつつ》か狐子《こし》に騙《へん》せらるるなからむ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
は心に信じたので、騒ぐ状なくじっと見据えた。 「はい。」 「お迎に参りました。」
駭然として、 「私を。」 「内方でおっしゃいます。」 「お召ものの飾から、光の射....
「恩人」より 著者:豊島与志雄
い痩せた姿を痛ましそうに見守っていた。 「あら兄さんが!」そう云った妹の声に彼は
駭然とした。同時に叔父が黙って彼の方を見上げた。彼はしいて顔面の筋肉を弛《ゆる》....
「子を奪う」より 著者:豊島与志雄
戸が開いて……敏子が……、そこまではっきりした形を取ると、彼は自分の不貞な空想に
駭然とした。そうじゃない、俺は云い残したことがあるのだ! と彼は自ら云ってみた。....
「故郷」より 著者:豊島与志雄
苦悩だとも云えるし、翹望だとも云える。死のようなものだ。そいつを見出した時、僕は
駭然とした。日の光は遠退いて、僕は薄闇の中に佇んでいた。然しそうした場合、人は同....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
を見た時、彼は恐ろしさのあまりぞっと寒くなった。鋭い叫び声をたてて頭を取落した。
駭然《がいぜん》と立上がって、その場を逃げ、表に駆けだした。叫びまた泣いていた。....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
とり巻かれたおのれを見る。一人ぽっちである。もはや信じていない。 クリストフは
駭然《がいぜん》として、なぜであるか、どうしてこんなことが起こったのか、了解する....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
が、自分の音楽であったのか?――彼は自分の作曲をひとわたり読み返してみた。そして
駭然《がいぜん》とした。さらに腑《ふ》に落ちなかった。どうしてそんなものを書く気....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
かと尋ねた。給仕はいい加減に答えた。 「十日ばかりしましたら。」 クリストフは
駭然《がいぜん》として家に帰った。その後毎日室に閉じこもった。仕事にかかることが....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の身だと信じていた彼も、それらのフランス人に比べてはいかに自由の度が狭小だかを、
駭然《がいぜん》として感じたのである。彼らは、精神のあらゆる絶対的な法則から、あ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ている。一身のうちに瞬間に起こるそれらの死滅や更生は、その一身を愛する人々をして
駭然《がいぜん》たらしむるものがある。けれども、意志の制御を受けない生気に満ちた....
「失われた半身」より 著者:豊島与志雄
えたのか自分でも知らない。突然、頭の中にぼーっと明りがさしたような気持ちでおれは
駭然として立ち止った。 栄子殺害の計画を、おれは考えていたのだ。然しどうも、お....
「悲しい誤解」より 著者:豊島与志雄
。私は我に返って、身を起した。さよ子は私の手をじっと握って、立って行った。なにか
駭然とした思いで、私は酒を飲んだ。さよ子はすぐ戻ってきて、電車の時間のことを言う....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
に、あちらのボックスの奥に、一人ぽつねんとしてる柿沼治郎の姿を見かけたのである。
駭然とも言える衝激を受けた。柿沼がこんなところに来てることが意外であったし、彼を....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
が、いつまでも、民族の宗教心・審美観などといえば大げさだが、何かのきっかけには、
駭然として目を覚ます、そう謂ったあり様に、おかれてあったのではないか。だから事に....