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骨を刺す
「骨を刺す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
骨を刺すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
の将来のおためにきっとなりませんから」と何げなげにいってのけた。木部がその言葉に
骨を刺すような諷刺《ふうし》を見いだしかねているのを見ると、葉子は白くそろった美....
「続黄梁」より 著者:田中貢太郎
つも腹が空いていて腹一ぱいに物を喫うことができなかった。そして破れた衣服を着て、
骨を刺すような風にいつも吹かれていた。 十四歳になって両親は顧秀才の所へ売って....
「冬日記」より 著者:原民喜
て来るのだった。そして、三年前彼がはじめて「グーセフ」を読んだ時から残されている
骨を刺すような冷やかなものと疼《うず》くような熱さがまた身裡《みうち》に甦《よみ....
「法窓夜話」より 著者:穂積陳重
射した。他の会員は思わず失笑する者もあり、顰蹙《ひんしゅく》する者もあった。痛烈
骨を刺す皮肉、巧みは則ち巧みであるが、かかる場所柄、少しひど過ぎると、我輩はその....
「日は輝けり」より 著者:宮本百合子
彼の確信であった。 ところが或る晩、ショボショボ雨の降るときであった。 妙に
骨を刺す風と、身にしみ入る雨水の冷たさで、体中かじかむほどになって、腹を減らしな....
「美しき月夜」より 著者:宮本百合子
不思議に悒鬱《ゆううつ》な銀色で、あたりの闇を一層際立たせ、同じような薄ら寒い脊
骨を刺すような光線は土に四本並んで這う鋼鉄の線路からも反射しているのである。線路....
「水仙」より 著者:太宰治
して、一緒に映画を見に行った事さえあったのだが、その頃の新夫人は、決してあんな、
骨を刺すような口調でものを言う人ではなかった。無智なくらいに明るく笑うひとだった....
「文士としての兆民先生」より 著者:幸徳秋水
想、本領を併せ得て十二分に活躍せしめて居るのみならず、寸鉄人を殺すの警句、冷罵、
骨を刺すの妙語、紙上に相踵ぎ、殆ど応接に遑まあらぬのである。 併し先生自身は、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ならぬ」 「お斬り捨てなさい」 こともなげに隣室《となり》から走る一語、お松の
骨を刺す冷たさがある。 「斬り捨てるほどの代物《しろもの》でもない」 「然らば拙....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
う。 壁ぎわや太い柱の陰に桶や馬穴が汚物をいっぱい溜め、そこらに糞便をながし、
骨を刺す異臭のなか 「助けて おとうちゃん たすけて 「みず 水だわ! ああうれ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
がついているのが、戸の洩れ灯をうけて夜眼《よめ》にもいちじるしい。
しみじみと
骨を刺す三|更《こう》の悲雨《ひう》。
本所化物屋敷の草庵に斬りこみをかけた二....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
席したが、先生が平泉先生という講演部長をさんざんにたたき付けられるのには驚いた。
骨を刺すように辛辣であった。その平泉先生は私をじわじわといつも冷遇したので、私は....
「海豹島」より 著者:久生十蘭
した雪原の上に海鴨が喪章のように点々と散らばっている。悲哀にみちた風景であった。
骨を刺すような冷たい風が肋骨の間を吹きぬけてゆく。蹣跚たる足どりで頂上の小高いと....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
居士は何かにつけて余らを罵倒し始めた。居士の晩年に於ける言行は何物に対しても痛罵
骨を刺すものであったが殊に余らに対しては最も峻烈を極めていた。 居士はある時余....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
けれど腰兵糧は氷を噛むようなものだし、火の気はもちろんゆるされず、その寒烈は
骨を刺す。が、それでもいつか横たわると三千の兵は死んだように眠っていた。眠ってい....